34.(エクストラ)企画書


時は少し遡る。


ダンジョンマスター・テイマー襲撃から2日後、俺は機械ゴブリンメイジ達の作った、ゲーム制作の企画書を見て、ため息をついた。



「ギャギャ(ど、どうでしょう?)」


「ギャッギャ(我々の企画、どこかマズイですか?)」


「ああ、色々とマズイな」



ざわざわ。



「ギャーギャギャ(かなり気合の入った大作だと思うのですが、どこがマズイのでしょう?)」


「それだよ、それ。この企画書の問題点はそこだ」



機械ゴブリン達の作った企画書は、それはもう、どこの大手メーカーが作るつもりだよといった具合の大層なRPGの企画書だった。


はっきり言って、無謀だ。実力が伴っていない。



「お前らはまだゲーム制作ノウハウを何一つ持っていないんだぞ?

それなのに2年間も使ってこの企画書のRPGを作るつもりか?」


「ギャギャ(命様の満足できる物を作ろうとすると、

このくらいの時間が必要です)」


「そういうセリフは、あと2年後くらいに言うんだな。

企画書は作り直し! プレイ時間10分以内の小作にすること!

プログラミング班は、今回はRPG制作ツールを使っていい。

とにかく1作品作るんだ」



この後2週間ほどで、彼らに短編RPGを3つほど作らせた。


プログラミング班の勉強も進み、現在ブロック崩しを作っているみたいだ。


全員、もう俺が色々と指導する必要もないくらい頼もしくなった。

今後はたまに様子見するだけでいいだろう。


将来は俺のダンジョン産のゲームを並行世界パラレルワールド

ダウンロード販売させるつもりだ。

楽しみだな。



「ギャッギャ(ところで命様はどうしてゲーム制作をさせようとするのでしょうか?

我々が作ったところで、傑作は作れないと思いますが)」


「馬鹿野郎!

人件費不要、土地代不要、設備完備、こんな条件が揃っているというのに、ゲーム作りをしないのは罪というものだろう!」



俺の友人は会社員をしながら同人ゲームのシナリオライターをやっていた。

絵師の知り合いは、ゲームのCG作成依頼だけでは儲けが足りないため、ポスター、ホームページの絵などあまり気が乗らない仕事も引き受けていた。


ゲーム作りだけやって生きていける贅沢な人は、一握りなのだ。


そう。そのような贅沢をする権利があるというのに、それをしないのはおかしい。


――――――――――――――*――――――――――――――

マスターの贅沢の定義の方がおかしい気がしますが。

それに人件費不要で喜ぶのはマスターだけでは?

――――――――――――――*――――――――――――――


機械ゴブリンメイジ達は今の仕事に喜びを感じてるみたいだし、いいんじゃね?






◇ ◇ ◇ ◇



今回の成果。


増減前4,988,210DP

―――――

収入0DP

支出0DP

―――――

現在4,988,210DP


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