32.DPとMA硬貨の相互交換機能くらい付けろよ。運営に文句言ってやる。



前回までのあらすじ。

侵入者の冒険者3人とゲームして勝った。



◇ ◇ ◇ ◇



「とりあえず、ダンジョン内の施設の修復はイチニーサンに任せるとして、蘇生費用が、ミルフィーユが55Lvx50で2750DP。

機械ファフニールは……あ、名前付けてないから蘇生できないや。ま、いっか」



そのうち、他の奴らにも名前つけておかないと。

特にスポナー産でない奴は死んだらそれっきりになりかねない。


機械ファフニールさんはスポナーからまた蘇るから問題ないな。



「人工音声さん、侵入者を配下に出来るアイテムってある?」


――――――――――――――*――――――――――――――

そんなチートアイテム、あるわけないじゃないですか。

――――――――――――――*――――――――――――――


ですよねー。


仕方ないなぁ。

俺は冒険者3人組みの方を向く。



「お前ら3人には、これから町や国のお偉い様にかけ合ってもらう」


「俺達に、そんな権限はないぞ?」



ジズ達はあまり地位が高いわけではないらしい。



「断ったらダンジョンマスターが災厄ネズミを放つと言っていた、とでも脅しておけばいいだろ」



俺の冗談にジズ達がドン引きする。

本気でそこまでするほど俺は鬼じゃないが。



「うちのダンジョンが受けた損失は大体10,000DPくらいだとして、その3倍の30,000DPくらいの損害賠償を請求しようじゃないか」


「30,000DPくらいなら……すぐに用意出来るだろう。

国のダンジョンマスター・テイマーにかけ合ってみよう」



ジズはあっさり引き受けた。



「よし、ならさっそく帰ってもらうか。

念のため、ミルフィーユを監視に付けるからな。

というわけで蘇生よろしく人工音声さん」



――――――――――――――*――――――――――――――

蘇生 大食い猫又(ミルフィーユ) Lv:55(2750DP)

手持ち4,924,020DP→4,921,270DP

――――――――――――――*――――――――――――――


「にゃ(はっ?! ボクはどこ? ここは誰?)」


「ジズ達の監視よろしくな」


「にゃん(ええ?! 一体どういうこと?!)」


「説明面倒だし、詳細はこいつらに聞いてくれ」



というわけでミルフィーユを監視に、ジズ一行には帰ってもらった。


ついでに、彼らを縛っていた魔法使用不可の鎖は回収させてもらった。

便利そうな魔道具だしな。今後使う機会があるかは不明だが。




◇ ◇ ◇ ◇


――――――――――――――*――――――――――――――

入手 「自然獲得(500DP)」x14

手持ち4,921,270DP→4,928,270DP

――――――――――――――*――――――――――――――


――――――――――――――*――――――――――――――

入手 「サイバーファームでの屠殺とさつ」(29,940DP)

手持ち4,928,270DP→4,958,210DP

――――――――――――――*――――――――――――――


ダンジョンの外。


ダンジョンマスター・テイマーの死亡報告が、北のギルドマスターを通じて行われた。


その際、生き残ったジズ、ベヒムス、リヴァイアの3人からの情報により、ダンジョン『引きこもり拠点』の危険度がSSSランクに格上げされた。


また、ジズ達の持ち帰ったダンジョンマスターの情報は、国から極秘情報として扱われることとなった。

もちろん他所の国へ情報が漏れないようにとの配慮だ。


ジズ達の監視役のミルフィーユは人間に化けていたので、人間の町で襲われるようなこともなかった。

襲ってきたところで、よほどの実力者でない限り返り討ちになるだろう。


命が要求した30,000DP相当の魔獣はすぐに送られ、ダンジョン内で始末された。


――――――――――――――*――――――――――――――

討伐 色々(30,000DP)

手持ち4,958,210DP→4,988,210DP

――――――――――――――*――――――――――――――


その時点でミルフィーユの監視が解かれたが、3人(主にリヴァイア)とミルフィーユは仲良くなったらしく、時々会っている。


この間、わずか2週間。


命は2064年お勧めゲーム詰め合わせを遊びつくしたらしい。


それからゲームセンターで遊ぼうとして、国にMA硬貨も要求すりゃよかった、と命は後悔した。


DPとMA硬貨の相互交換機能くらい付けろよ。運営に文句言ってやる。

と愚痴をこぼしたが、気を取り直して、ミルフィーユにMA硬貨を稼いでもらうことに決めた。



◇ ◇ ◇ ◇



他の国では、もっと恐ろしい光景が広がっていた。


女神パチモが他の2人のダンジョン担当女神に喝を入れ、上位ダンジョンマスター達による、ダンジョンマスター・テイマー狩りが本格的に行われることになったのだ。


とある国では、浮かぶ海賊船が主要都市を爆撃したという。


ある国では、マグマの波が町を1つ飲み込んだという。


隣国では、1夜にして国の5分の1の住人が吸血鬼にされたという。


地の大陸の89ヶ国のうち88の国で、悲劇が起こった。


全て、上位のダンジョンマスターの仕業である。


彼らは国の1つ2つくらい簡単に滅ぼすことが出来る。

気が乗らないからやらないだけだ。


だが彼らは、ダンジョンの女神からの神託によってやる気を出した。


ダンジョンマスター・テイマーを1人殺せば、お菓子の女神ワサンボの作った絶品スィーツが10個も食べられるという神託によって。


ダンジョンマスター達は面倒くさがりなので、ダンジョンマスター・テイマーごと町や都を滅ぼした。


もし命がこのヴェガ王国で有名になっていなければ、ヴェガ王国も同様の大虐殺を受けていたであろう。


命がダンジョンマスター・テイマーを殺したことは国家機密だが、パチモ達は戦績を各ダンジョンマスターへ通達しているため、命のことも知れ渡っているのだ。


ダンジョンマスターになって1ヶ月でSSSランクの危険度までダンジョンを育て上げ、ダンジョンマスター・テイマーを1人葬った期待のニュービー。


ダンジョンマスター達は命に気を使って、命の国には手を出さずにいたのだ。

命の国には上位ダンジョンマスターは1人だけいるが、彼女は菓子に微塵も興味がなかったため、今回の大討伐に手を出していない。


もっとも、そんなことを知っているのはダンジョンマスター達のみである。




◇ ◇ ◇ ◇



今回の成果。


増減前4,924,020DP

―――――

収入66,640DP

支出2,750DP

―――――

現在4,988,210DP



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