11.(エクストラ)ダンジョン調査


前回までのあらすじ。

命のダンジョンはCランク冒険者3人を葬った。

命はガチャした後、モンスターふんたー11Gに没頭した。



◇ ◇ ◇ ◇



・とある冒険者パーティのリーダー視点



俺はジズ。冒険者の男だ。


最近町の付近の平原に発生した洞窟がダンジョンかどうか調べてこい、という依頼を受けた。

俺含む3人パーティの他にも、3人のガラの悪い男が同じ依頼を引き受けた。


奴らは俺達と協力せずに、勝手にダンジョンに潜ってしまった。


ここでダンジョンについて話をしよう。


ダンジョンとは、異世界人が作り出す一種の迷宮だ。

ダンジョンの持ち主の異世界人はダンジョンマスターと呼ばれ、神々から力を授かり、その力をもってダンジョンを支配している。


この地の大陸にはダンジョンが数多く存在する。


そして、地水炎風の4属性大陸の中でダンジョンが存在するのも地の大陸だけである。




「ダンジョンマスター、居るのかなぁ」



リヴァイアは魔法使いの女だ。



「さぁ? 居るとしても協力的かどうか分かんねーし」



ベヒムスは近接戦士の男だ。


俺とこの2人で1つのパーティを組んでいる。


ダンジョンマスターは大きく3種類に大別される。

協力的な者、敵対的な者、無関心な者。


多くは協力的な者なのだが、中には敵対的な者がいる。

そういうダンジョンマスターは国が拉致監禁する。


無関心な者についても、ダンジョンがクリアされ次第、ダンジョンマスターを拉致監禁し、国の言いなりにする。


協力的な者には国は攻撃を加えず洗脳だけして、敵対的や無関心な者のダンジョン征圧に協力させる。


いずれにしても、ダンジョンマスターなんてしょせん国に良いように使われるだけの存在なのだ。


もちろん彼らは抵抗するかもしれないが、奴らどうも平和ボケしてる国から転生したらしく、まるで戦いを知らない。技術にしても戦術にしても交渉にしても。


なので、大半のダンジョンマスターは魅了魔法で骨抜きにされ、国の言いなりになっている。


言いなりになっていないダンジョンマスターなど、ダンジョン10個に1個程度しか存在しない。




「協力的なら町へおびき寄せて魅了魔法。

非協力的ならダンジョンを攻めて捕まえる、で良かったっけ?」


「ああ。出来たてのダンジョンなら、攻略も手間ではないだろう」



リヴァイアの質問に答える。


問題は先行した3人の男が、ダンジョンマスターを刺激してないかどうか、だが。


もしダンジョンマスターが警戒すれば、作戦の成功率が下がる。




「んで、リーダー。あの3人をいつまで待つつもりだ?

退屈で死にそーだ」


「ケガをしてダンジョンから抜け出してきたなら、治療して恩を売るついでにダンジョンの情報を聞き出そうって思っていたんだが」




どうも3人が帰ってくる様子はない。


出来たてのダンジョンなら、せいぜい5階層足らずのはずだ。

罠もあまりないはず。


もう帰ってきてもいいはずなのに。




「中で殺されたんじゃないの?」


「だとすると、ダンジョンボスがいるかもしれないということか」




ダンジョンボス。ダンジョンで発生する規格外の魔獣。


中型以上のダンジョンには存在するが、出来たてのダンジョンにボスがいるなど聞いたことが無い。


……ん? 何だこの地響きは?




「……! 洞窟が盛り上がって……エエエエーーッ?!」


「何が起こったの?! 地面から塔が生えてきた?!」


「しかもこの高さ。8階層以上あるぞ……」




俺達は、このダンジョンを甘く見ていたらしい。


これは作りたてのダンジョンにしては立派すぎる。


中型というには小さいが、問題はダンジョンが急にこの大きさになったことだ。




「あの3人がダンジョンマスターを怒らせた……か?」


「あちゃー、警戒されたっぽいね」


「ど、どうせ階層だけ増やした、見かけ倒しだろうよ?」




いや、階層を増やすのにもそれなりのDPが必要なはずだ。

出来たてのダンジョンがそんなこと出来るはずがない。


それに3人が帰ってこないところを見ると、それなりの魔獣がダンジョンに居ることになる。


俺は、ダンジョン探索は危険と判断した。



「引き返すぞ」


「あぁ?! 中に一歩も入ってないのにかよ?!」


「クエスト失敗になるわよ? 罰金が発生するわよ」


「命あっての物種だ。あの3人が帰ってこなかったことと、ダンジョンが急に大きくなったこと。この2点を報告すれば、クエスト失敗の罰金は多少は軽減されるはずだ」


「リーダーは相変わらず慎重なことで」


「長生きしそうな性格してるわよねぇ」


「誰が何と言おうとこれは決定事項だ。帰るぞお前ら」


「しゃーない。俺も死にたくねーしな」


「罰金はリーダーが払ってよね」


「分かってる」



俺達は町へ帰り、ギルドに報告した。

ギルドの連中は俺達を臆病者呼ばわりして馬鹿にした。


しかし俺達の持ち帰った情報は、ダンジョンへの警戒を高めることとなった。


その証拠に、Aランク冒険者のパーティ2組が調査を引き継ぐことになったみたいだし。


彼らならしくじることはないだろう。

もし彼らが失敗すると国が抱えているSランク冒険者が行くことになるが……いや、ないな。


ま、おとなしく続報を待っているとしよう。




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