第2話 作戦決行へ
一 元妻と弟と俺
「それがさあ、弟ったらいやに乗り気なのよ」
元妻の恋人役として私が白羽の矢を立てた元妻の弟が乗り気ということで希望が見えた。
「それは良かった。それで、どうする?」
「詳しい説明はあなたがしてよね」
「うん、もちろんだよ」
「じゃあ、明日の夜8時にこの間と同じモナトリエでいい?」
「了解」
当日、元妻と弟はすでに恋人同士のように手を繋いで現れた。
「こんな感じでどう?」
案外乗り気の元妻が言った。
「いいんじゃない」
私も乗り気で言った。
「だって」
元妻が弟のほうを見て言う。その弟はさっきからずっとニヤニヤしている。
「そうでしょう。こう見えて、僕、高校時代は演劇部でしたから」
「さすがです」
「ちょっとお、あんまりおだてないでよ。すぐに木に登っちゃうタイプなんだから」
いつまでも手を繋いでいる弟の手を切るようにしながら元妻が言った。
「まあ、お二人ともいつまでもそこに立ってないでお座りください」
私の隣に二人が座り、ようやく会話ができる状態になる。
「弟さんが引き受けてくれて感謝です」
「なんかおもしろそうだったので。それに、ギャラも出るって聞いていますしね」
「ギャラって言っても、アルバイト料程度のものですよ」
「それでもいいですよ」
「そうですか。じゃあ、さっそくですが、これまでの経緯と、やっていただく際の段どりを説明しますね」
わが家の隣に元妻の麗奈が引っ越ししてきてから起こった出来事を話し、その解決策として二人に恋人同士を演じてもらうに至った経緯を話していると、弟はおもしろくてしょうがないという顔をして聞いていた。その後、今妻の行動パターンを話して、どの時間帯なら今妻と接触できるかを教えた。なにせ、今妻に見てもらわなければ意味がないので。
「了解しました。うまくやりますから安心してください。ねえ、姉貴」
「だ、そうです」
姉のほうは嫌がっているように見えたが、実はノリノリだとわかっていた。こういうイベントがもともと好きな人だから。弟を先に返し、元妻には他の話があるからと残ってもらった。
「何であんなにノリノリなのかしらねえ。ギャラだってたいしたことないって言うのに」
元妻が不思議そうに言う。
「お姉ちゃんのことが大好きなんじゃないの」
「やめてよね、気持ち悪い」
「まあまあ。おかげで助かります」
「ところで、話って?」
「ああ、そのことなんだけど。実は妻の父親にバレてしまった」
「別に何も悪いことしてないんだからいいんじゃない?」
「そういうわけにもいかないんだよ」
元妻に余計なことは話したくなかったが、実情を知ってもらうため、今妻とその父親と自分の関係について話し、23日にその父親から呼ばれていることを話す。
「ふ~ん。逆玉に乗ったんだ」
「そこじゃなくてさあ。23日までに解決しないとえらいことになるって言うことなんだよ」
「それはそっちの問題でしょう。でも、なるべく早くやるわよ。私のためにもね」
「頼むよ。それともう一つなんだけど、万が一うまくいかなかった場合の対応策も考えておきたいんだよ。で、それを君にも考えておいてほしいんだ」
「相変わらず自分勝手だこと。まっ、いいわ。一応私も考えておく」
「恩にきる」
二 思わぬ反撃
土曜日の夜、仕事を終えて家に帰ると、妻の意味ありげな顔に迎えられた。元妻から、金曜日の夜から作戦を実行しているとメールが入っていたので、そのことに違いないと確信した。
「ビールでも飲む?」
私服に着替えてリビングに入ると、そう声をかけられた。
「そうだね。あんちゃんも一緒にどう?」
機嫌良さげだったので誘ってみる。
「いい?」
「いいに決まってるじゃない」
なんか新婚間もない頃に戻ったような雰囲気に心も弾む。
妻手作りのおつまみに、キンキンに冷えたビールが登場する。
「乾杯」
「乾杯」
一気に飲んだビールが喉を心地よく落ちていく。
「って、何に乾杯だかわかんないけどね」
私が妻に誘い水を向けると、妻は待ってましたとばかりに話し始めた。
「あのさあ。ちょっとおもしろいことがあったのよ」
ついに来たな。
「何? なんか嬉しそうな顔してるけど」
「お隣さんのことなんだけど」
「またあ~」
いかにも飽き飽きという顔をする私。
「そんな顔しないでよ。実は、お隣さんが男性と一緒にいるところを見ちゃったのよ」
「ええー、ほんと?」
驚きでひっくりかえる演技をしてみたが、ちょっとやり過ぎだったか。
「何それっ」
「あまりの驚きでさあ」
「でも、ほんとなの」
「ふ~ん。どんな感じだった?」
「それがさあ、イケメンなのよ。ちょっと私のタイプ」
私のタイプと言われると、ちょっと複雑な気持ちになる。自分のことが大好きでたまんないと言っていたのに。自分とまったく違う弟がタイプってどういうことと思ったが、ここを深堀するとおかしなことになりそうだったのでやめる。
「あっ、そう」
返事がつれなくった。
「あれっ、やきもち妬いちゃった?」
何であの弟にやきもちを妬かなくちゃならないんだ。
「それはないよ。で、いくつくらいの人?」
「んとねえ、歳はたぶんお隣さんより、一つか二つ上だと思うけど」
実は3つ下だけど、そう見えるんだ。
「どこで見たの?」
「昨日の夜にコンビニで見て、さっきスーパーに買い物に行った時も見た。なんかイチャイチャしてたわよ」
「そうか。でも、これで俺とお隣さんがどうのこうのっていうのはないことがわかってもらえたよね」
「一応ね」
「一応って、どういうことよ」
「もうちょっと様子を見ないとね」
「疑い深いね」
まったくしつこいんだから。とはいえ、作戦はうまくいってるように思えた。
ところが、再び予想外のことが起きてしまった。
それは翌週の水曜日のことだった。いつものように、仕事を終えて自宅に帰ると妻がいなかった。事前に何の予定も聞いていなかったので戸惑う。リビングに入ると、ローテーブルの上に便箋が一枚置いてあり、そこには『急用で出かけますが、遅くとも午後9時には帰ります』とだけ書いてあった。時間を見ると、現在は8時30分だった。妻が帰るまでビールを飲んで待つことにする。
「ただいま」
目をテレビ画面に据えたまま、ビールを飲み続ける。妻は自室に入り、着替えをしてリビングにやってきた。そして、リモコンで私が見ていたテレビを消して言った。
「ちょっと、話があるんだけど」
その声はいつになく尖っていた。声のほうを振り返ると、妻が手に大きな封筒を持っているのがわかった。嫌な予感がする。
「何?」
すると、妻は持っていた封筒を私の前にドンと置いた。封筒の下に書かれた文字を見ると、大山探偵事務所と印刷されていた。
「今そこから帰ってきたというわけ」
「そう…」
「そう、じゃないでしょう。この嘘つき」
「人聞きが悪いなあ」
「じゃなくて、往生際が悪いでしょう」
なんかうまいこと言われてるが、ツッコムわけにもいかない。
「ちょっと、何だよ」
「さっさと中を見たら?」
中が想像ついたので見たくなかったのだが、見ないわけにいかなくなった。中から表紙に報告書と書かれた冊子を取り出して開く。すると、いきなり目に飛び込んできたのは、私と元妻の麗奈が顔を寄せて、しかも真剣な顔で話し込んでいる写真だった。しかも数枚。この間打ち合わせをしていた時のものだとわかる。
「これは…」
「動かぬ証拠よね」
「そんなあ」
「何言ってるのよ。これ以上の証拠はないでしょう。しかも、この間お隣さんと一緒にいた男の人は弟さんだったのね。私を騙すためにカモフラージュの恋人役まで作っておいて、自分たちはせっせとよりを戻していたっていうことじゃない。もう、最低の最低、ゲスの極み」
そう言い放つと、自室へ消えた。弁解しようにもどう弁解したらいいかもわからず途方に暮れる。
三 元妻の説得
最悪の事態になり、私は再び元妻に助けを求めることにした。
自分の部屋に戻り、元妻にメールする。本当は電話で話したかったが、万が一今妻に聞かれてはまずいのでできない。取り急ぎ事の顛末を簡潔に書いて送る。すると、元妻からはつれない返事が送られてきた。
『ただ今、当方絶賛仕事中。ついては、明日の昼休みに電話されたし』
この間自分が冗談で使った『絶賛』が、こんなところにはね返ってきた。やむを得ず布団を被って寝る。今回はよほど怒っているのだろう、翌朝キッチンに妻の姿はなかった。朝食はとらずに出勤する。私が懸念しているのは、23日の日曜日より前にまた今妻が父親に相談するのではないかということだった。もしそんなことになったら…。想像するだけで恐ろしい。その前になんとかしなくてはならない。昼休みになるのを待ちかねて元妻に電話する。
「あっ、俺、俺」
「何あわててるのよ」
「だってさあ」
「メールを見てだいたいのことはわかったわよ。お宅の奥さんも可愛い顔してなかなかやるわね」
「そんなこと言ってる場合じゃないんだ。で、どうしよう?」
元妻には、弟の恋人作戦が万が一うまくいかなかった場合の対応も考えてもらうよう頼んでいた。もっとも、状況は違ってしまったけれど。
「私ねえ、今仕事が追い込み中なのよ。だから、また夜に会って話しましょう」
「えっ、会うの? それってまずいんじゃないの?」
「何でよ」
「だって、妻がまだ探偵を使っているかもしれないじゃない」
「何ビビってんのよ。それならそれでおもしろいじゃない。うんと見せつけてやればいいのよ」
気の弱い自分にはそんな度胸などない。
「そんな無茶な」
「まあ大丈夫よ。普通に考えて、報告書が出ているということは調査が終わったということだから」
「でも、万が一ということが…」
「グダグダ言うな。嫌なら私は降りるよ。私のほうの影響はたいしたことなさそうだし」
「そんなこと言わないでよ。わかった。じゃあ、また会って話しよう」
「了解。私のほうは午後8時以降ならOKだから、時間を決めてメールをちょうだい。ちなみに場所はいつものところでね」
あの店からお金をもらってるんじゃないかと思うほど、あの店を指定する。
「わかった。後でメールする」
その日の午後8時半に、いつものモナトリエで会うことになった。元妻は大丈夫だと言っていたが、私は今妻が探偵の調査を継続しているような気もして不安だった。
待ち合わせ時間に行くと、すでに元妻は店にいた。私は近くに探偵がいないか周囲を見渡して近づいた。
「待たせた?」
元妻の横の席に滑るように座る。
「忍者か」
「探偵がいるかもしれないじゃない」
「もしいたら、もう写真とられてるわよ。ジタバタしたってはじまらないんだから、堂々としてればいいのよ。何ならキスでもする?」
「ええー」
「ええーとか言いながらニヤけた顔するんじゃないよ。冗談なんだから」
「まあ、そうだろうけど…」
冗談なのが残念だ。
「しかし、さっき電話でも行ったけど、お宅の奥さん案外しつこいね」
「う~ん、参ったよ」
「この際、私が直接奥さんに話すよ。一番最初に言ったように」
「ええー、それどうかなあ」
「どうかなって、あなたのほうで他に何かいい案でもあるわけ?」
「それが見つからないんだ」
「どうせ何も考えてないくせに。あなたって、いつも他人任せよね」
「バレちゃった?」
「とっくにね。というか、あなたに最初に出会った時からわかってたわよ。でも、そうやってすぐ認めちゃうところが女心をくすぐっちゃうんだけどね」
「えっ、そうなの? 意識してなかった」
「バカねえ。意識してないからいいんじゃないの。意識してやってたら、ただのスケコマシじゃない」
「ス、スケコマシぃ」
「そんな言葉を、そんなデカイ声で言うんじゃない」
だって、あんたが言った言葉でしょう。
「すみません。でもさあ、うまくいくのかな」
「あのねえ、私のプレゼン能力知ってるでしょう」
元妻は私の会社に営業に来て、社長にプレゼンをして仕事を決めた。社長も、元妻のプレゼン力には感心しきりだった。
「確かにね」
「お宅の奥さんみたいなお嬢様を落とすのなんて簡単よ」
元妻の力は私自身よく知っている。なにせ、元妻と付き合うことになったのも、元妻からのアプローチだったし、私が結婚を迷っていた時、自分と結婚すればこんないいことがあると元妻からの強烈なプレゼンに落とされたのだから。
「それはそうかもしれないね」
「大丈夫。任せなさい」
「わかった。そうと決まったら1日も早くやってもらいたい。そうじゃないと、調査結果を妻の父親に知られてしまうかもしれないからさあ」
「それは面倒くさいことになるわね。わかった。じゃあ、この後このまま二人でお宅に行って私が話すよ」
決断が早く、しかも実行力も抜群だ。女にしておくのがもったいない、なんて言うとセクハラになるんだろうけど。
「そ、そう?」
「こういうことはさっさとやるに限るのよ。その代わり、もしお宅の奥さんが部屋に閉じこもっていたとしたら、あなたが引きずり出すのよ、わかった?」
「わかったよ」
元妻とタクシーに乗って自宅に戻る。鍵を開けて、そっとあがる。リビングの明かりが点いているし、テレビの音が聞こえるので妻はリビングに出ていると思われた。元妻には玄関で待機しているように言って自分だけリビングに進む。リビングのドアを静かに開けると、ソファーに座ってテレビ画面を見つめる妻の後ろ姿が目に入った。まだ怒っていると思ったが声をかける。
「ただいま」
「ふん。浮気男」
浮気男? なんかおかしいと思うけど、面倒くさいので認めてしまうことにする。
「はい、そうです。私は浮気男です」
「バカ。本気で言ってるわけ。私がどれだけ苦しんでいると思うのよ」
確かに妻は怒っていた。でも、こうしてこちらの話に絡んでくるということはチャンスがあるということだ。女の人は黙り込んでしまった時が一番やっかいだ。
「ごめん。本当にごめん。すべて俺が悪い。だけど、まったくの誤解なんだ」
「何が誤解よ。あんなはっきりした証拠があるっていうのに」
「いや、だから違うんだって」
「もうダメ。私、あなたと離婚することにしたの」
「ええー、それだけはやめようよ」
「それだけはってどういう意味よ」
また余計なことを言ってしまった。
「ごめんなさい、深い意味はありません。そんなことよりさあ、あんちゃんが誤解してるっていうことを証明してあげるから」
「どうやって?」
「そこでちょっと待ってて」
「何? 何?」
「絶対そこにいて」
今妻をリビングに残して、元妻を呼びに行く。玄関に待機していた元妻の元に行くと、元妻が小声で『遅い。時間かかりすぎ』と文句を言う。両手を合わせて頭を下げる。元妻を伴ってリビングに戻る。
「連れてきたよ」
私の後ろから入って来た元妻を見た今妻は、ムンクの叫びのような驚きの表情を見せた。
「ええー、どういうこと?」
「こんにちわ、杏樹さん」
元妻はかつて見たこともないような満面の笑みを今妻に向けて言った。しかし、今妻はそれには答えず、すがるように私のほうを見て言った。
「いやん、私はどうしたらいいわけ」
ーありゃ、かわいいーと思う自分。なので、優しく妻に言う。
「あんちゃん、落ち着いて。彼女がこれから真実を教えてくれるから」
まだあっけにとられている今妻に向けて元妻の攻勢がゆっくりと始まる。
「ということで、私が説明しますから、そちらに行っていいですか?」
有無を言わせぬ元妻の口調に今妻は自分の対面のソファを指さしていた。
「どうぞ」
「じゃあ、失礼しますね」
元妻が座ったのを確認して、私は今妻に声をかけた。
「では、俺は駅前の飲み屋に行っているから終わったら連絡してね」
自分は立ち会わないほうがいいという元妻のアドバイスを受けて、その場を離れると決めたのだ。
「ええー、じゅんちゃん行っちゃうの」
心細げな妻を見るとかわいそうになるが、ここは心を鬼にする。
「杏樹さん、ここは二人でさしで話し合いましょう」
「はい」
元妻に気圧されてそう言っている今妻の声を背中に聞きながら部屋を出る。
四 新展開
今妻の杏樹から電話があったのは、およそ1時間後だった。元妻は話し合いに自信ありげだったけど、果たして本当にうまくいったのか心配だったが、予想より早い連絡だった。
「はい」
「あっ、じゅんちゃん」
妙にテンションが高い。
「うん」
「麗奈さん、ちょっと前に帰ったところ」
ー麗奈さん?ー
ちょっと前まで、あのお隣さんたらとか言ってさんざん文句言ってたのに。
「で、どうだったの?」
「すべて解決」
声の調子からそうだろうとは思ったが。
「あっ、そう」
「だから、じゅんちゃんも早く帰ってきて」
さすがは元妻。有言実行とはまさにこういうことだ。しかし、離婚まで口にしていた今妻をどうやって懐柔させたのだろうか。
「わかった」
「あっ、帰りにハーゲンダッツのストロベリーを買ってきて」
ド定番の苺味が、杏樹はとにかく好きだ。俺も好きだけどね。
「わかった」
自宅に戻ると、今妻は超ゴキゲンだった。
「おかえり」
「なんかゴキゲンじゃないか?」
「うん。麗奈さんとちゃんと話してみてわかったの。すべて私の誤解だっていうことが」
「そうだろう。だから俺は最初からそう言ってたじゃないか」
「そうなんだけど。じゅんちゃんの言うことは信じられなかったの」
「どうしてだよ」
「それはじゅんちゃんの説明がヘタだから」
「俺のせい?」
「そうみたい」
「なんだかなあ。それで、彼女の言うことは信じられたわけ」
「うん。何せ、説得力が違うのよね。じゅんちゃんみたいに軽くないし」
「俺って、軽い?」
なんか、すっかり俺が悪いことになっている。おかしなことだ。
「すんごく軽い」
すんごくと強調され愕然とする。
「ふ~ん」
「それに、あの透き通った目。あの目に見つめられたら、もう何でも言うこと聞きますってなっちゃう」
確かに、元妻の眼力は強いものがある。
「しかも、きれいだし、頭いいし、カッコイイわよね。大好きになっちゃった」
「なんかべた褒めだなあ。少し前まであんなに貶してたのに」
「あら、そんなことあったかしら」
「もう、勘弁してよ。でも、誤解がとけたということは23日にお義父さんのところに行く話はなくなったんだよね」
「ううん。23日は予定通り」
「何でだよ」
「さっき、今日のことパパに電話したら誤解で良かったって。でも、23日はせっかくスケジュール空けたのだから淳太君と久しぶりに会って話がしたいってパパが言うから、わかった予定通り行くねって答えた」
「ええー、そんなあ」
「そんなに杏樹のパパと会うのが嫌なの?」
「嫌なわけないじゃない。杏樹のパパなんだから。ただ、ちょっとばかり苦手なんだよね」
「あんなに可愛いパパのことが?」
どこが可愛いんだよ。岩みたいな顔してるのに、という声にならない心の声が空中にさ迷っている。
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