第20話 廃ラブホテル

 僕の地元の長野県では昔出ると有名なラブホテルの廃墟がありました。今もあるかもしれませんが、そこへ高校時代の僕の友人Bさんが肝試しに行った時の話です。


 男二人、女の子二人の計四人でBさんの車に乗り、市街地から外れたところにあるその廃墟へ乗り込みました。建物はわりとわかりやすい場所にあり、ナビに従って進んでいるとすぐに見つかったそうです。


 立ち入り禁止の立て札とトラロープが掛かっているところを超えて、中に入ると、中はかなり荒れ果てていました。ガラスなんかも割れているのがちらほらあり、ゴミと落書きでかなり汚れていました。


 辺りに有名な妊婦の落書きがあり、ああこれが有名な落書きかと思いよくよく見ると執拗に卑猥なことが書いてあり、不気味でした。


 入り口になっている管理人室と思しき場所から奥の客室へつながっている階段はかなり暗く、それなりに雰囲気はある所だなと思ったそうです。


 Bさん達は噂のオーナー夫妻の写真があると言う部屋を探して奥に進んだそうです。夜にその部屋に行くと写真が話しかけてくるなんて噂があったのですが、この時の探索ではその写真は見つからなかったそうです。


 ボロボロの階段を登って、上の部屋を見て回っていた時でした。一人の女の子がここで自殺があったんだって、暴漢に襲われた女の人、この辺で死んだんじゃない? と言った時でした。


 プルルル……プルルルと電話の鳴る音がしました。Bさんの携帯に非通知で着信がありました。着信メロディを設定していたはずなのに、古い電話の様に鳴ったんです。


 恐る恐ると出たときでした。「見てるわよ」と女の声で一言、そして電話は切れました。まるでスピーカーモードの様に大きな声だったため、その場の全員がそれを聞いたそうです。


 四人は慌てて廃墟から逃げ出したと言っていました。ちなみに四人が聞いたその電話は着信履歴には無かったそうである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る