12「魔導師」

 部屋――というより、倉庫だろうか。飾り気のない石造りの広い空間に、いくつかの大瓶おおがめが置かれている。その中には、金、銀、銅、鉄など金属類の鉱石が雑多に入れられていた。

 隣の大瓶には、ルビー、サファイア、エメラルドなど宝石の原石。玄武岩げんぶがん花崗岩かこうがんなどの火成岩かせいがん、砂岩、石灰岩等々の岩石が入れられているものもある。


 大瓶が並ぶ場所の隣には、拡大鏡ルーペが置かれた大きな机。そこには砕かれたもの、こぶし大のもの、砂粒ぐらいになっているもの等様々な鉱物が載せられている。


 机のすぐ横には、簡易ベッド。岩石の中にできる晶洞ジオードあかりにしているようだ。しかしその光源は微小なようで、色取り取りの晶洞がちょこちょこちょこと並んでいる。



 ――ここはきっと、【石の都の魔導師】の部屋。

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