04「吟遊詩人」

 二面の窓から明るい日差しが入る、一年中温かい部屋だ。出窓には香りの良いハーブ類がいくつも置かれている。


 本立てしかない本棚には、髪を束ねただけの冊子がたくさん。その中には、生きていくために必要な金言が書かれている。

「人を騙す者は地獄に落ちる」「夢を語り、幸せを与える」「人生経験が豊かなほど、言葉に重みが出る」等々。


 ほかにも、「常に世の中の流れを感じ、自然に身をゆだねる」という金言と共にある、先輩から紹介されて購入した家庭用のハンモックや、お金を入れるとその日の内に別の場所に転送保管される壺もある。


 素材が違えば音色も違うという助言を受けて手に入れた、金や銀、白銀や銅等の金属製、木や石などの自然素材製のハープは、全て壁に飾ってある。それぞれのハープは、使い手の実力がついたら光って知らせてくれるらしい。

 購入してから一年。まだまだ実力は追いつかない。



 ――ここはきっと、【騙されやすい吟遊詩人】の部屋。

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