ゲームに記憶力って通用しますか?

卯月 為夜

記憶力と開始前


「えーっ!?一緒にやろうって言ってきたのに出来ないの!?」と、驚いた表情で言っているのは高校生のカナデである。

「うん、ごめんねー奏。ちょっとテストでやっちゃってさー」と、呑気な声が電話越しに聞こえてくる。奏の親友のソラだ。

「ちょ、ちょっと待ってよ!私、ゲームやった事ないんだよ!?」と奏が言う。そう、彼女は生まれてこの方16年、ゲーム機に触った事すら無いのである。

「まぁまぁ。別に大丈夫だよ。操作も簡単だと思うし。奏もすぐ慣れると思うよ?あと攻略wiki見たら分かんないことも解決してくれるし。それに、あの記憶力があれば能力とかもすぐ覚えられるでしょ。」と、空が言う。すると奏が、「そんなの無理だよ!だってアイテムとかも多いんでしょ?」と、言う。

そう言われると思っていたのであろう空が、「そんなこと言っていっつもやり遂げるのがあんたなんだから。」と、言うと、空のお母さんが呼んでいるらしく、「あ、ごめんね!多分ご飯だ!明日学校で感想聞かせて!それじゃ!」と、空が続けて言って通話が切れた。

1人になった奏が「うーん。どうしよっかな。取り敢えず攻略wiki?だっけ。見てみようかな。」と、呟く。

奏が攻略wikiを開くと、おびただしい量の攻略情報が出てきた。「えっ!?嘘、1462個もあるの?覚えきれるかなー。うげっ…一体一体のモンスターの情報も書いてある…」と、不安そうに言っているが、これを全て覚えきってしまうのが奏である。

そう、奏は昔から驚異的な記憶力を持っており、一度に1462個など容易いものなのだ。

1時間ほどして全ての情報を読み切った奏は、

「ふーっ。こんな感じかー。」と、伸びをしながら言う。普通では、1時間で読み切れるものでは無い。

そう、奏は、記憶力に加えて、読解力、速読力まで常軌を逸しているのだ。

「さて、そろそろやりますか!」と意気揚々に言った奏は、VRMMOのヘルメットを装着した。

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