「傘がない」が聴こえてくる

雨がやまない。



窓を開けて寝ていると、朝方に鳥の声はするが、もう蝉の鳴き声は聞こえてこない。もう7月なのに、朝晩の冷え込みを感じる。



「クシュン、クシュン」



半袖、半ズボンの息子がテッシュペーパーを探している。

梅雨前線の影響で雨が長引くと、お天気キャスターが言っている。


ご機嫌さんはどこへ行った。



なんとなく、憂うつな時間が流れていた。こんなときに限って、忘れ物をする。取りに帰る時間は、もうない。諦めて、今日は乗り切ろう。



「まぁ、なんとかなるわ」



そう思ったら、大して問題なかった。なんとかなると思えば、なんとかなる

だんだん気も楽になって、肩の力が抜けた。


それにしても、雨がやまない。

井上陽水のヒット曲「傘がない」が頭のなかで流れた。



♪都会では自殺する若者が増えている。

今朝きた新聞の片隅に書いていた。

だけども問題は今日の雨傘がない。

行かなくちゃ君に会いに行かなくちゃ・・・

ところで、私は誰に会いに行く♪


誰かが待っている。

こんな雨の中、来てくれる人がいる。幸せだと思わないか。

ある本に書いてあった、考え方で現実は変わる。不安も期待も、自分が引き寄せている。

ハッピーを選ぶ。笑顔を見せる。期待する。



ご機嫌さんが帰ってきた。

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