最強で渋い執事はいかがでしょうか?
きりんじ
第1話 渋い執事はいかがでしょうか?
私は執事。
人に使えるのが大好きでございます。
しかし、ある同じ方に使えるのも飽きてまいりました。
そのためある方にお暇を頂いて、私はフリーランスの執事として旅に出ることにいたしました。
そのある方というのは、おいおい説明すると致します。
しかし、旅に出ると言っても私は執事のため、誰かにお仕えをしていないと落ち着かないことが判明いたしました。
ですので、私は3つの事を自分に課すことにいたしました。
1つ目 旅先で仕えた方の願いを3つ叶えたら、他の国へ移動する。
2つ目 むやみに人は殺さない
3つ目 悪事に手を染めない
以上のことを守りながら、私は旅をしております。
さて、次はどんな方にお会いできるのでしょうか?
その執事はある広い国の木陰で、日記をつけていた。
何故日記を付けているのかというと、日記を付けることで更に執事としてのレベルアップにつながるのではと思い書き留めている。
すると向こうから可憐な少女の声が聞こえてきた。
「執事さーん!おはようございまーす!」
執事さんと呼ばれた執事は日記から目を外し、ふわりとした笑顔の少女の方向を見る。
「おはようございます。エマさん」
執事はその笑みを見つめ、そして自らも口元を緩めた。
「私の家の準備が遅れてしまい申し訳ありませんでした」
エマという少女は車椅子に乗っていた。
「いえいえ、お気になさらないでください。おかげ様で気持ちの良い風に当たりながら、のんびりと出来ました」
執事は立ち上がると、エマにペコっと一礼をした。
「私の家までご招待しますね」
少女は車椅子を自分の手で進ませようとする。
「ご自宅までは私、執事が押しますよ」
「いえ、私の願いの数が減ってしまいます・・・」
「ご安心ください。これは願いの数には入りませんよ。貴方の本当の願いだけをカウント致しますので、私がお仕えする間の親切は安心してお受け取りくださいませ」
執事は優しく微笑むと、車椅子をゆっくりと押し進める。
「本当は、私専属のメイドさんが押してくださる予定だったんですが、私が1人で行きたい!と無理を言って出て来ちゃいました。おかげで手がクタクタに疲れたので、本当に助かります。執事さん、ありがとうございます」
エマは後ろを振り返って、執事にお礼を述べた。
「いえいえ、こちらこそ私のような執事を雇って下さりありがとうございます。短い間かもしれませんが、よろしくお願いしますね」
「はい!こちらこそよろしくお願いします。1つ目の願いは見つかり次第お伝えしますね!何を叶えてもらおうかしら・・・?」
と言うと、少女はくすくすと笑った。
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