黒歴史戦線
神無月エミリア
俺は現在進行形厨二病
「貴様、この俺を怒らせたこと後悔してももう遅い! その罪、命の灯火をもって償うがいい!」
その男は口ずさみながら小刻みに手足を動かしポーズをとっている。
一般人からしたら、とてつもなく恥ずかしいセリフが昼休み時間校内の中庭に響き渡る。
「あいつなにやってんだ? ウケるまじ友達とかいなそう」
校舎の通路から、その光景を目にした2人の男子生徒は去り際にそのセリフを言い捨てクスクス笑いながら去っていった。
「フッ……貴様らには到底理解出来ん次元の話だ!」
その話を耳にした俺は呆れた顔で言い放った。
俺の名は
身長173センチ 体重 63キログラム。
黒髪で髪の毛はいつもワックスで整え厳つい感じを演出している。
いや、そうではない。俺は生まれながら龍の血を受け継いでるからな髪型にも現れている。
右手に包帯を巻いてるのは封印のためだ。
俺の中に眠る龍の血が疼き出し暴れてしまうからな。
最後にあまり重要なことではないが石原市にある私立石原大付属高校に通う高校2年生だ。
自分で言うのもなんだが日々悪の組織と戦っている……という設定だ。
周りの奴らからは厨二病だの精神異常者など馬鹿にされているが全く気に病んでいない。
何故なら自分の好きな物に誇りを持っているからだ。そう頭の中でアニメの冒頭説明シーンみたいによく分からないセリフを並べながらベンチに座り学ランのポケットから小説を取りだした。
〝血染めの龍と秘められし竜爪 13巻〟いかにも厨二病臭いタイトルだ。
俺はこの場所でこの作品を読むことが学校生活の中で唯一の楽しみである。
物語の内容は竜の力に目覚めし主人公が竜の力を悪用するヤツらを薙ぎ倒す物語。実に王道なファンタジー小説だ。
こいつは俺をこの趣味に目覚めさせたルーツであり、相棒といったところか……おかげで友達はいない。
いや仲の良い奴はいた。過去形になっているのは言わずもがなだがこの趣味に愛想をつかされたのだ。そいつは今でも同じ高校だが入学当時から一言も言葉を交わしていない。
小学5年生からの幼なじみだ。日朝にやってる〝魔法少女てぃんくる9〟というアニメが好きで子供の頃はよく話を聞いていたし魔法少女ごっこにも付き合っていた。
だがあいつもいつまでも子供ではないということなのか高校になって俺に対する態度を含め、趣味であった〝てぃんくる9〟の話をすることもなくなった。
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