熱射病

わたしの肌を焼く

一瞬の熱

その瞬間の眩暈

踏切の高い音

無意識に一歩前に

誰かに腕を掴まれた

誰だかわからなかった


ほんのりピンク色に

色づき始めた

痛み出す皮膚

日差しに負けて

何者かに

決定的に負けて


理不尽だと叫ぶ

別に理不尽ではない

ただの言い訳だと

わかっているから


だから熱射病の頭痛の中

決定的に負けていて


けれどそれに

打ち勝つ方法も

わからない


全ては今、熱射病のせい

だから一歩

前に行かせて


なのにやっぱり掴まれて

それが誰だかわからなくて


お願い

掴まないでいて


あなたの顔が見えないの

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