乾杯

タバコをふかして地平線を眺める

春先のまだちょっとばかし寒い空気を

肺の奥まで吸い込んだ


アイツら、今頃どうしてんだろ


もし口があったら もし足洗ってたら

アイツらどんな大人になってたかな


きっと喧しくてはた迷惑で……

それでもきっと愉快なままで……



タバコをふかして水平線を見つめる

前はヒマさえありゃこうして原付乗って

変わらねぇ朝日を見に来たっけか


俺、この頃どうかしてる


一人また一人 目の前から引いてく温度

初めは腐った目から流すモンあった


きっと感覚が麻痺して……

それでもきっと思うことはあって……


香炉の灰はもう濡れた

葬儀にゃお前のカーチャンただ一人

独り残して呆気なくいっちまったな

親不孝なお前らに笑って肩パンかましてーよ


でもさ…お前ら、もういねぇんだよなぁ……


墓場の隅の木陰にさ お前の墓石が建ってんだよ

横見りゃナメクジひっついてんだ

もう笑うしかねぇよ

俺も今年で二十五だ

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