第33話 イジリだし

「ったく、お前つまんねーな。何しても無表情で」


「なんか言ってみろよ!!」


森川のクラスに戻ると、絶賛イジメ中?だった。

さっきの派手な二人組が森川に悪口を言っている。

対して森川は・・・わーお。完全スルー。見向きもして居ない。


「美人とか言われてるけど、そーでもなくない?目つき悪いしブスじゃん」


いや、少なくともお前らよりは100倍は、森川の方が美人だぞ。お前ら、カラコン大きすぎて宇宙人かよ。


「シカトすんなって言ってんだろ!」


派手な女子が手を振り上げる。


「わー!暴力反対!!」


僕は思わず止めに入る。


「あ?なんだ、この眼鏡」


「一ノ瀬・・・」


森川はびっくりしたように僕を見る。


「あ?こいつ、あれじゃん。痛い自己紹介をしたり、神田真由子とライトノベル部を作ったやつじゃん」


「いや、ライトノベル部は作ってはいない。無理やり入らされただけだ」


あと、僕の噂はこんな所まで届いてるんですね!!


「んなのどーでもいいんだよ。邪魔すんなよ」


「いやいやいや、イジメをするのは良くないんじゃないか?」


僕が言うと、女子生徒二人は笑い出す。


「はー?バカじゃない?イジメじゃないし。イジリだし」


出たー!イジリとか言うやついるよね!それって大概イジメなんだぞ。


「だいたいこいつ、痛いんだよ。変な正義振りかざしちゃって。見ていてあいたたーってなるんだよね」


「そうそう。奇行もしてるしね」


奇行・・・それに対しては何も言えないが!


「やっぱりそういうの、見ていて気分が悪いよ。やめた方がいいと思うよ」


「はぁ!?なんだよ、この眼鏡!」


「僕だってね!前世は魔王だから!」

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