第4話「カラシニコフ」
───え、
「ん~?」
『SHOP』ボタン、ぽちー。
ナナミは躊躇なく、グレーアウト状態から『AK』のシルエットの項目にポイントを注ぎ込んでロックを解除。
すると───チャキーン!! と効果音が華々しく鳴り響き……。
ついに、『兵器購入』の項目を解放する。
そして、
そこに表示されるは──────あの有名に過ぎる……。
「AK-47だよ♪」
シュオン!
と、光の粒子に包まれたカラシニコフがナナミの
うん……。
男の子なら誰でも知ってるだろう。
ほら、英語とかでよく見るよね?
ゾンビ映画とかにも出るし、テロリストとか敵兵が良く持ってるあれ───……。
はい、せーの!
か、
「カラシニコフじゃねーーーーーかーーーーーーー!!」
※ ※
カラシニコフじゃねーーーかぁぁっぁああ……!!!
かぁぁあ…………。
かぁあ……。
「───も、もう好きにしてくれ……」
開いた口が塞がらない……。
ナナミはと言えば、中空から現れたAK-47を受け取り、もうニッコニコ。
さらに『兵器購入』画面から、予備の弾としてAK-47用のバナナマガジンを大量に購入している。
それを着用している防弾ベストのポーチに詰め込んでいくと、購入したAK47の弾倉を一度抜いて中身を確認。
カシャコ……!
ニコリと笑う様子を見るに、弾は入っているのだろう。
それをヘルメットにコンコン♪ と軽く叩きつけて弾を均一にそろえると、実に慣れた手つきで再装填していく。
カコ……───シャキンッ!!
硬く重い音を立てて弾倉受けにおさまると、そのままコッキングレバーを、ジャキリ! と引いて初弾を薬室に入れる。
あらまぁ、随分と手慣れていらっしゃること……。
そして、あんぐりと口を開けたままの幼馴染の猛に向かって───。
「あ! そうだぁ♪ ねぇ、猛ぅ……あれ言ってよー。あれ」
「───あれ?」
あれって…………。
何だろうと思っていると、ナナミが指をクイクイと動かしている。
………………………あー! あれかぁ。
あの映画の、ね。
ナナミが大好きで、何度も繰り返し見ていた映画───。
はいはい。付き合ってあげますとも。
「…………おい。セーフティが掛かってないぞ」
「にひッ♪───『セーフティはこれさ』」
コキコキと指を怪しく動かして、満足げに笑うナナミ。
わざわざ声色までを替えて、斜に構えていらっしゃる───。
…………はいはい。満足したか?
バカやってないで───。
「───双方動くなッッ!」
って。
「ありゃりゃ? 誰ー?」
「げ!」
わ、忘れてた……。
ポヤーっとした表情で周囲の人影を見渡すナナミと、顔をひきつらせた猛。
その周りには完全武装の騎士団が───。
そりゃ、こうなるわな……!
「動くなと言っているッ!!」
ガシャキッ!
その声と共に、一斉に向けられる敵意と槍の穂先。
いつの間にか猛たちを完全包囲していたのは───先ほどまでドラゴンと交戦していた騎士団の面々だ。
その全員がフェイスガードを降ろしており、表情が見えない。
だが彼らからは、痛いほどの緊張感を感じさせる。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!」
この構図はマズイ。
どう見ても穏便ではない騎士団の面々をみて、猛は背後にナナミを庇うと、取りあえず隊長っぽい奴に向かって話しかけた。
どういうわけか、異世界でも言葉は通じるのだ。
ならば話してみても損はないだろう。
「勝手に口を開くな! 質問はこちらからする!」
しかし、騎士団の連中は聞く耳を持っていない。
こ、これは不味いか……?
明確な敵意と不信感を彼等から感じた猛。
少なくとも、誰からも好意的な雰囲気は全く感じられない。
(ど、ドラゴンを倒したからって、味方とは限らないよな……)
ツツー……と、冷や汗が流れるのを感じながら、猛はこの場を何とか逃れられないか画策し始めた。
ドラゴンと対峙していた彼らの戦いに図らずとも介入する気になったわけだけど……。
すなわち、それで味方かどうかと言われれば甚だ疑問だというのだろう。
いや、まぁ。
猛だってそうするだろう。
───だって、普通は空から人が降ってきたら滅茶苦茶警戒する。
……当たり前だわな。
だけど、
「お、落ち着いてくれッ! お、俺たちは怪しいものじゃ」
いや……自分で言ってて怪しさ全開だけど。
「滅茶苦茶怪しいわッ! 貴様らは、ここをどこだと思っている?!」
いや……知らんがな。
「い、異世界?」
「ハッ! 異なことを言う。ここは人類支配地域の最北端───魔族の住む世界との狭間。地獄とあの世の境よ……!」
うわ……!
最前線じゃん!?
す、スゲーところがスタートポイントだな?!
ゲームで言えば後半でしょ、ここ。
あの自称神様め……。
スタートポイントくらい決めさせろよ!
「そ、そうなんですか? 俺達もよく知らなくて……」
「勝手に口を開くなと言っている!」
ガン!! と、槍の石突きを地面に叩きつけると隊長らしきそいつがズイと一歩前にでた。
……アンタが聞いたんやないかい!
「───聞け! 我らが問いは一つ!……そして、一度だけしか問わんッ」
サッと手を掲げる騎士団の隊長。
それに合わせて包囲している騎士たちが、重々しい金属音とともに槍を構えなおした。
ガシャガシャガシャ!!
無数の槍の穂先が自らを指向し、猛の体が硬直しかける。
「ひっ!」
ドラゴンと対峙した時とは違い、明確なまでの殺意。
それも、人の意志を持った殺意をぶつけられるのだ。
ついさっきまで高校生をやっていた猛には少々厳しい。
「た、猛ぅ……」
不安そうなナナミの声に、猛はグビリと唾を飲み込んだ……。
さぁ
この状況───どうする?
──────────────────
《現在のステータス》
パーティメンバー1
名 前:藤堂 猛
種族等:人間(男)
職 業:勇者
●ステータス
Lv:23
HP:275
MP:262
SP:255
●物理
筋力:295
敏捷:282
耐久:274
●魔力
魔力:268
詠唱:261
対魔:256
●スキル
スロット1「未設定」
スロット2「未設定」
スロット3「未設定」
スロット4「未設定」
スロット5「未設定」
●割り振りスキルポイント
『+250』
パーティーメンバー2
名 前:新庄 七海
種族等:人間(女)
職 業:女子高生
称 号:『ドラゴンスレイヤー』
『初見殺し』
●装備
主武装1:RPG-7
主武装2:AK-47(銃剣あり)
副武装1:なし
投擲物1:なし
●防具
頭 部1:6B6ヘルメット
頭 部2:シューティンググラス
身 体1:6B3ボディーアーマー
身 体2:地元高校制定セーラー服
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