第6話

体の自由が奪われる。

まるでマリオネットの様に勝手に体が動く。顔が勝手にあがる。唇から嘘が溢れ出す。「レイディエ殿下…私、殿下の事が…もっと、知りたいです!」

「え…?」

殿下が目を見開く。

(な、なんで?何言ってるの私!?なんで、体の自由が聞かないの!?そんなことより、殿下の事知りたいって・・・殿下に謝りたいんですけど!?)

だけど、止まらなかった。

「わ、私、レイディエ殿下みたいに喋るの上手じゃないけど、ゆっくり、少しずつ…レイディエ殿下の事知りたいです!れ、レイディエ殿下が、私の事、ちゃんと見ててくれたのが、すごく、嬉しくって…」そして、はにかんだ様な笑みを見せるシュトュル。

(か、顔の表情まで勝手に!?なんで、嘘が…嘘?あれ…?)

シュトュルは何かが引っ掛かり、必死に思いだそうとしていた。

操られているとは知らないレイディエ殿下は、嬉しそうな笑顔を見せる。

「シュトュル…私も、シュトュルの事を知りたい。ゆっくり、少しずつで構わないから…教えてほしい」

まさしく、天使の様な笑みを浮かべるレイディエ殿下。

そこで、シュトュルは思い出した。

(これ、レヴィアタンの仕業…!嘘の言葉、縄で絞められた様な痛み…でも、思い出したのはいいけど…この、勝手に体が動いたり、喋ったりするのを止める方法は、わからないわ!)

ふと見れば、レイディエ殿下の耳元で殿下の従者が何かを伝えていた。聞き終わると、殿下は、悲しそうな表情をした。

「そうか…シュトュル、すまない。このあと急用がはいってしまってね…また今度、ゆっくり、お茶しよう。今日は楽しい時間をどうもありがとう。ディフェン、シュトュルを自宅へ送ってくれ」

ディフェンと呼ばれた殿下の従者は頷く。レイディエ殿下が席を立つとシュトュルも勝手に動きだし、席を立つ。

「れ、レイディエ殿下、今日は本当にありがとうございます。今度は、ゆっくり、殿下と会話したいです…」

そう言って、礼をする。レイディエ殿下は、微笑むと、喫茶店を後にした。

そこで、全身の痛みが引き、体に自由が戻った。

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