夏が終わる
鼻をつくような草の匂いがだんだんと薄くなってきて、田んぼの緑色が少しだけ黄色く変わった。体にまとわりつく風が、湿気の多いものから乾いたものへと変わった。空の青さが柔らかくなり、そこに浮かぶ雲が小さくなった。
──ジジッ、ジジジ。
足元にいたセミが最後の力を振り絞って飛ぼうと足掻く。
ああ、夏が終わるんだ。
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