虚無
それは水晶のように透明であった。
それは太陽のように輝いていた。
それは道に咲く花のように鮮やかであった。
それは陶器の壺のように脆かった。
それは美しかった。
その日は突然にやってきた。
暗闇がそれらを覆い隠した。暗闇に飲み込まれたそれを、私は見ていることしか出来なかった。
それは濁り、闇に染まり、もう輝かなかった。それは音をたてて壊れていった。
もう、戻らない。
虚無の世界は灰色だった。
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