第270話 ニノン・ロマリィ
◆ニノン・ロマリィ
17歳(本編終了時18歳)
蜂蜜色の髪に茶色の瞳の小柄な普人族の女性。
魔装
《
※『白の道標』で働き始めた後に発現させた魔装。
面倒くさがりでいい加減でやる気がなく、釣りが好きなノイルと考え方や生き方が似ている人物。つまり、基本的にはダメ人間である。そんな自分のダメさ加減もしっかりと自覚しており、一切自分自身には期待していない。しかし、何だかんだ友人となった者や知人のためには、愚痴を零しながら重い腰を上げて力になろうとするような一面を持っており、自分を腐った人間だと思っているため、周囲に過度な期待を押し付けるような事もしなければ、他人のやる事によほどの事でもなければ口出ししない、どこまでも怠惰でありながら非常に付き合いやすい人物でもある。
ノイルとは基本的な考え方が酷似しているため、直ぐに意気投合し仲良くなったが、それはまさに同族といった関係であり、ある意味男女の関係からは最もかけ離れていた。それは最初は彼女に対してとやかく言っていた女性陣が、「ああ、こいつは違う」と安心する程であり、絶対にノイルと彼女がそういった関係になる事はないと、やがて認められるようになる。そもそも、ニノン自身が異性というものにどこまでも興味を持っておらず、誰であろが一切接する態度を変えない。空気を読んで謙ったりはするが、基本的には彼女は彼女である。女性陣の中では、かなりイレギュラーな存在だと言えるだろう。
また、彼女が『白の道標』に加わる際、ミリスにサインさせられた『契約書』は、勝手に辞めない事と、ノイルはミリスのものだと弁えた行動をする事といった内容であり、わざわざ罰を覚悟してそれを反故にするような人間では絶対にない事も、危険人物ではないと認定される大きな要因となった。
自身が女性であるという事にもあまり頓着していないが、愚かでもないためトラブルを起こさない為の距離感もしっかりと弁えている。また、容姿については殊更に着飾ったりすることはないが、面倒だと思いながらも最低限の体裁は整えている。本人曰く「あまりにも無頓着だと、余計変な奴と思われるっすらから」とのこと。この辺りの考え方も、自身の容姿に自覚がないながらも、周囲を不快にしないよう整えているノイルと似ており、自分の愛らしさには気づいていない。今日も死んだ顔をしているなと、毎朝鏡を見ながら思っている。
ノイルと似ているということもあり、女性陣からは女性であるにも関わらず意外な事に好かれている。この辺りも彼女がイレギュラーな存在だと言えるだろう。その似た思考故に、相談を持ちかけられる事も多く、本人は辟易としながらも一応ちゃんと付き合っている。後に、『ニノン相談室』としてちゃっかり相談料を取り始めた。もっとも、それは彼女のもうやりたくないという意思表示であったが、相談は止むことはなかったという。
誰とも確執を持たず、ソフィやテセア、癒し手とも違い完全な中立の立場である彼女は、真の意味で全員とフラットな関係を築いており、自ら進んで誰かに肩入れはしない。周囲から言わせれば謂わば、フリーの駒のような貴重な存在である。ノイルに近い位置におり、警戒の対象から外れている彼女は、上手く動かせば自身に優位に働くため、「お願い」は後を絶たなかった。その「お願い」は一方を断り一方を受けると角が立ち、また、断っても何度も同じ話を持ちかけてくるため、あまりにも度が過ぎたものでない限り、彼女は渋々引き受けるしかなかった。
とはいえ、彼女は能力的には一般人であったため、パワープレイは不可である。彼女の動向が大きな変化を齎すことはなかった。
しかし、日々行われる争いで辟易した彼女は、ある時これまたイレギュラーな魔装を発現させる。それは、抑止力にも最悪の兵器にもなり得る魔装であった。
彼女の《
これに呑まれた者は、まず戦意を喪失する。スローモーションでも殴り合えば肉体強度も低下しているため、ダメージにはなるが、まず殴り合いに持っていくのに非常に時間がかかるのだ。空間内で逃げ回る彼女と、スローモーションの追いかけっこをしなければならない。とにかく、まともに抜け出そうとするだけ馬鹿を見る魔装である。更に、部屋に閉じこもってバリケードを築いた上で発動されてしまえば、弱体化した状態でそのバリケードを破壊する術などない。まさに、争いを嫌った彼女のいい加減にしろとばかりの声が聞こえてくるかのようであった。
しかし、確かにこの魔装、無駄な争いを強制的に止められるが、同時に全員を倒せないまでもしばらくは無力化させられる魔装である。後に彼女のこの力を利用し、更なる争いが巻き起こった事は必然であった。
彼女は他を抑え込む最終兵器として認識されるようになる。本人は、「力なんて持つものじゃないっすね⋯⋯」と、本来なら殆ど無意味な最強の魔装を憎んだという。
そんな彼女の相談役であったのが、釣り仲間であるレットだった。当初はノイルに愚痴を零していたが、彼がさり気なくレットへと愚痴を零すように誘導する。最初の内は「あの人テンション高くてついていけないんすよね⋯⋯」と言っていた彼女は、次第にレットとの仲を深めるようになった。想いをストレートに表現するレットに、「私みたいなのがあの人の人生汚しちゃだめっすよ」と、困り果てていたが、ノイルの「僕みたいなのと親友なんだから大丈夫」という言葉により、考えを改める。
それでもそもそも恋愛事どころか異性にすら興味のなかった彼女は、レットの好意に気づきながらも、「物好きっすね」と、やはり釣り仲間として付き合っていた。そして、遂に「こんななんの取り柄もないいい加減な釣りバカ女より、他の人探した方がいいっすよ」と、本人に告げる。しかしレットは「好き好んでそんな女に惚れてんだよ」と返した。彼女は「アホっすね」と肩を落としながらも、微笑んだという。
以降はのんびりゆっくりながらも、更に関係を深め結婚。式ではノイルに代表挨拶を頼み、「ニノ」「レっくん」と呼び合いながら、王都に家を買い、そこで二人仲睦まじく暮らしたという。
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