第262話 シアラ・アーレンス
◆シアラ・アーレンス
16歳(本編終了時17歳)
黒髪黒眼のスレンダーなやや幼さの残る普人族の器量の良い女性。
魔装
《
《
血の繋がらないノイルの妹。
ある日アーレンス家の玄関前に、白布に包まれ眠っていた所を家族として迎え入れられる。
その身に秘めたマナ量は魔人族すらも上回り、赤子の頃からマナをコントロールする程の天稟の持ち主。
マナを扱う才だけではなく、聡明であり計算高いが、若さ故に直情的であり頭に血が上ると騙されやすい部分があるなど、未熟さが目立っていた。しかし徐々に成長し、『アステル』戦以降は主にノエルに騙されるような事もなくなり、大人の女性として成熟する。ただし、ノイルには相変わらず甘え続けた。
実は物心つく頃には自身が兄や父親と血の繋がりがない事を察しており、グレイをしつこく問い詰め事実を把握していた。
ノイルの事は最初から兄として見ておらず、一人の異性として見ていたが、彼女にとって彼の妹という立場は好きなだけ甘えられる都合の良いものであり、妹として振る舞いながらノイルの認識を徐々に徐々に歪めていった。故に、ノイルは兄妹としては少々行き過ぎたスキンシップであっても疑問に感じず、これくらいならば普通だと思い込んでいる。
子供時代の彼の周りから異性を遠ざけていた張本人であり、それどころか友人を作ることも良しとせず、二人だけの世界を構築していた。
当時、非常に低かったノイルの能力もしっかりと把握しており、度々「兄さんは私が居ないと何もできないね」と言う事で、共依存のような状態に陥らせようと画策するなど、割と手段を選ばない。
ノイルがどれほど自分を想ってくれているか確かめるために、事あるごとに窮地に陥ったふりをして、彼に助けを求めていた。自身のダメさや弱さを知りながらも、自分のために必死になるノイルの姿に、何よりも彼女の心は満たされていた。結果的に、ノイルはこの行いにより《癒し手》と《守護者》の魔装を幼くして発現させるに至る。
そのままいけば彼女の思惑通り、二人で生きていく事になるはずだったが、グレイがノイルを実家から遠ざけ、ネイル魔導学園に通わせる。
これはノイルの原因不明なマナの減少を見ての判断であったが、その要因の一つには彼女の狙いをグレイが察していた事もあった。予言の件もあり、彼を狭い世界に留めておくわけにはいかず、そうでなくとも彼女はやりすぎであった。流石のグレイでも二人を一時的に引き離す程度には、彼女はノイルを自身に縛り付けようとしていた。
しかし、彼女はこれも幸いと一時的な別れを利用する。兄は約束を果たせず、自分に罪悪感を抱き、再開した暁には二度と離れようとはせずより絆は深まるだろうと考えた。とはいえ別れはやはり辛いものであり、ノイルが実家を離れる際の涙は本物であった。
ノイルが魔導学園を卒業しても実家に帰って来なかったのも想定通りであり、彼女はとりあえず自身も魔導学園へと入学する。そこでノイルの足跡を追いながら、彼の作った釣り堀で彼を感じ寂しさや辛さを誤魔化しつつ、充分に機が熟すタイミングを待っていたが、あまりにも想定外の出来事に見舞われる。突如現れたフィオナに、ノイルと結婚すると知らされたのだ。まさに彼女にとっては青天の霹靂であった。釣り堀も二人で作ったのだと知らされ、激しい憎悪が彼女の身を焼いた。
直ぐに彼女はノイルを取り戻すため、フィオナを仕留める魔装を発現させ王都へと向かう事になる。
しかしそこで更に、成長したノイルの周りには幾人もの邪魔者がまとわりついている事実を知ることになった。
それだけであまりにも厄介であったが、その後ノイルが何者かに突然拉致されるという到底看過できるわけのない事件が起こる。
すぐさま救出に向かった彼女は、その道中で自身が『
同時に、頼りなかったはずの兄は著しく成長しており、もはや自分が居なければ何もできないような人間ではないと認識を改め、それでもやはり変わらない彼への想いはより強まった。
『浮遊都市』の一件の後は、姉であるテセアとの関係を深めつつ、ノイルを勝ち取るために行動を開始するが、【
とはいえ、直ぐにはその能力全ての力を引き出せなかったが、テセアの《
『アステル』戦以降もしばらくはテセアの補助が必要ではあったが、才だけに頼らず自身を磨き始めた彼女は、どんどんと〈千姿万態〉を使いこなすようになり、もはや未熟などではなくなり、ミリス以外ならば誰にも劣らなくなる。
だが、ノイルは相変わらず妹としてしか彼女を見ることはなく、周囲の攻勢に押されていく事に業を煮やした彼女は、とうとう強硬手段に出た。
すなわち、想いを告げ強引にノイルへと迫り、誤解の余地が生まれぬ行為に及んだ。彼に対してだけ、絶大な効果を誇る《絆ぐ鎖》を持つ彼女にノイルは抵抗できるわけがなく、彼女も何をしようがもはや嫌われないという確信があった。友剣の国以降続けていた日頃の擦り込みの成果もあり、結果的に彼女は三つ子をその身に授かる。
この件について姉であるテセアは、「あ、はい」と達観した面持ちで頷き、失踪した兄を静かに連れ戻して家族会議が開かれた。
もはや兄と妹という関係ではなくなったが、それでも彼女は家族として、彼の傍に居続けたという。
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