第19話 私と天使(妹)のそれぞれの練習





「お姉ちゃん、行ってらっしゃい。気をつけてね」

「うん。みゆも先輩が来てくださるまでちゃんとお留守番しててね。先輩来たらちゃんと戸締りして出かけるんだよ」

「わかった」


今日から、大学の授業が始まる。私は、今日結構な量の授業があるのだが、ユーフォの宇佐美先輩は授業が1限にしかないため1限の授業が終わった後に天使(妹)とユーフォの練習をしてくださるそうだ。4年生で忙しいはずなのに妹の練習に付き合っていただいてかなり申し訳ないが、宇佐美先輩は気にしなくていいよ。私、バイト先にそのまま就職することになったから就活しなくていいから余裕あるし…と言ってくださったのでお願いすることにした。

私は妹に部屋のスペアキーを預けて大学に向かった。



お姉ちゃんが大学に出かけてから2時間くらい経った時、宇佐美さんから今から迎えに行くね。とLINEが送られてきた。私はわかりました。よろしくお願いします。とLINEを送り返して戸締りをしてアパートの前で宇佐美さんを待つ。

少し経つと宇佐美さんが車で迎えに来てくださったので、私はお礼を言いながら車に乗せていただく。

歩くと結構時間がかかる大学まで、車からあっという間だった。大学に着いてから、さっそくホールに向かい、私と宇佐美さんはユーフォの練習を始める。まずは音を安定して出せるようにしようか、と言われているので音を安定して出せるように意識をする。だが、中々上手くいかない。どうしても違う音が出てしまう。狙った音を自然に出してしまう宇佐美さんやお姉ちゃんはやっぱりすごいや…と思いながら宇佐美さんと一緒に練習をした。


「お疲れ様です」

「あ、こうちゃん、お疲れ様」


私と宇佐美さんが練習しているとチューバの3年生でお姉ちゃんのパートの先輩のこうさんがホールに入ってきた。宇佐美さんはこうさんの挨拶に応えて私は軽く頭を下げる。こうさんはそのままホールの奥に入っていった。

しばらくするとお昼の時間になったので私はお姉ちゃんが作ってくれた弁当を食べる。宇佐美さんも自作の弁当を一緒に食べた。そして、ご飯を食べ終わり練習を再開する。夕方まで休憩を挟みながらひたすら練習していた。こんなに長い時間、宇佐美さんは嫌な顔一つせずに私の練習に付き合ってくれた。


夕方になってお姉ちゃんがホールにやってきた。私と宇佐美さんに挨拶して宇佐美さんにお礼を言いお姉ちゃんはホールの奥に入っていった。

なんか少しうきうきしていたような気がするがしばらくして2本のチューバの音が聞こえてきた。


「こう先輩、お疲れ様です」

「あ、みことちゃんお疲れ様」


私は、今日授業終わりにこう先輩と一緒に練習をする約束をしていた。

私のためにわざわざ授業が終わった後もホールで待っていてくださったみたいで少し申し訳ない気持ちがあった。

こう先輩はずっと優しかった。出会った時からずっと…優しくて大人しいタイプの先輩、男の人とあまり関わる機会がなかった私が男の人に優しく接しられて私は少しだけこう先輩のことを意識してしまっているようだった…









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