第491話 初め。





「「「「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」」」」


みんなの目標とかを話していたらあっという間に年越しをした。TVのカウントダウンの数字が0になり、新しい年号が表示された瞬間、打ち合わせをしていたわけでもないのに全員が同じことを言って頭を下げていた。


「じゃあ、りょうくん、今年初めてのハグして。ハグ初めしてよ」


ハグ初めとは?謎のパワーワードに困惑していると春香とまゆが抜け駆け禁止!と言って僕に抱きついてこようとしたゆいちゃんを止めて誰が1番最初に僕に抱きしめられるか揉め始めてしまった。


「じゃ、じゃんけんで決めたら?いつもみたいにさ…」

「「「こんな大事なことじゃんけんで決めれない!」」」


揉めていた春香とまゆとゆいちゃんに提案したらちょっと強い感じの口調でそう言われた。


「じゃあ、りょうくんに決めてもらおう」


数分の口論の末、僕に全部丸投げされた。1番困るやつだ。だってさ……


春香を選んだ場合→春香は喜ぶ。まゆはちょっと拗ねる。ゆいちゃんは怒る。

まゆを選んだ場合→春香は悲しそうな表情をする。まゆはめっちゃ喜ぶ。ゆいちゃんは怒る。

ゆいちゃんを選んだ場合→春香は悲しそうな表情をする。まゆはちょっと拗ねる。ゆいちゃんは超喜ぶ。


きっとこうなるに決まっている。僕は春香の悲しそうな表情見たくないしまゆに拗ねて欲しくないし怒ったゆいちゃんを見たくない。だから、どれも選びたくない。故に困っている。というのに……


春香はチラチラと僕に目線を向けて物欲しそうな表情してるしまゆはまゆのこと選んでくれるよね?みたいな表情をしているし、ゆいちゃんは自分が選ばれることを疑っていない表情をしている。みんなかわいい。誰かなんて選べない。


「ごめんね。僕、欲張りだから…みんなのこと大好きだから」


そう言って右手でまゆ、左手でゆいちゃんをそっと手繰り寄せて、真ん中に春香を入れて3人まとめてぎゅっと抱きしめふ。いつもみたいに……


「嫌だった?」

「「「ううん。これがいい」」」


春香もまゆもゆいちゃんもすごく素敵な笑顔で僕に答えてくれた。今年一年、ずっと、春香とまゆとゆいちゃんが今みたいな表情をしていますように。春香とまゆとゆいちゃんがずっと、今みたいに幸せな表情でいることができるように、春香とまゆとゆいちゃんの彼氏として、3人の幸せを願う。







  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る