第487話 お願い。
「お願いします!今回だけ。今回だけだから!!」
泣きつくくらいの勢いで僕の財布を持つまゆにお願いする僕を見て春香とゆいちゃんは苦笑いをしていた。
「だーめ。許しません」
まゆはそう言って僕の財布を背中の後ろに隠すように持つ。僕がこんなにお願いしている理由、それは……ガチャだ。
「お願い!毎年、年末のガチャと新年の福袋ガチャの時だけって決めてるの。ちゃんとそれ守ってるから、今回だけ」
この件に関してまゆは絶対許してくれない立場で毎年僕がガチャを引くのを見ていたのである程度許容してくれてる。(何もない時に課金しようとしたら止められた)ゆいちゃんは僕の好きにさせてあげれば?という立場だからまゆを説得すれば問題は解決する。仕方ない、奥の手を使うか…
「まゆ、好きだよ」
「まゆもりょうちゃんのこと大好き。だけどだーめ。好き。って言われても許しません。あとさ、りょうちゃん…好き。って言ってくれるのはすごく嬉しいけど、そうやって何かをお願いするために好き。って言葉を使われるのはまゆ、嫌だな」
好き。って言われて嬉しそうな表情をした後、寂しそうな表情を浮かべてまゆは僕に言う。まゆの言う通りで、まゆにお願いするために好き。って言葉を使ってしまった自分に嫌気がした。
「まゆ、ごめんね。僕が悪かったよ。で、でも、まゆのことは本当に大好きだから…だから、そんな寂しそうな表情しないで」
そう言ってまゆを抱きしめるとそっとまゆも抱きしめ返してくれた。
「わかってくれたならいいよ。それに、りょうちゃんがまゆのこと大好き。ってこと、まゆは知ってるから」
「そっか」
めちゃくちゃかわいい笑顔付きでそう言われて僕はまゆの頭を撫でてあげると更にかわいい笑顔を浮かべてくれてめちゃくちゃ幸せな気分になる。もうガチャとかどうでもいいわ。
「もうお願いはいいの?」
まゆだけずるい。と言い出した春香とゆいちゃんを抱きしめた後、まゆに聞かれる。
「なんか幸せすぎてどうでもよくなった」
「そっか。じゃあ、浮いた分のお金はまゆたちに課金してもらおうかなぁ。お節作るの頑張ったからご褒美に美味しいスイーツとか食べたいなぁ」
まゆがそう言い出すと春香とゆいちゃんもまゆの意見に賛成して、美味しいスイーツを食べさせてあげることになった。まあ、3人が喜ぶ表情が見られるならいっか…
大晦日にも関わらず、朝からいっぱい頑張ってお節を作ってくれた春香とまゆとゆいちゃんにささやかだけど、お礼をしよう。と思い明日スイーツを買いに行くことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます