第468話 かくしごと
「りょうくん、まゆちゃん、お疲れ様!」
お店に入るとゆいちゃんが出迎えてくれていきなりギュッて抱きついてくれた。今日一日の疲れが吹っ飛ぶわ…
「ゆいちゃんもバイトお疲れ様」
そう言ってゆいちゃんの頭を撫でてあげると、ゆいちゃんの背後からやってきた春香がこそっと僕にギュッと抱きついてきてめちゃくちゃかわいい。
「春香もバイトお疲れ様」
「うん。ありがと……」
春香の頭もなでなでしてあげると顔を赤くしてギリギリ聞こえるくらいの声でお礼を言う春香がかわいすぎる。
「そこのバカップルはいつまでもいちゃいちゃしてないで早くこっち来て座りなさい」
お店の入り口でそんなやり取りをしていたらみはね先輩に怒られたのでお店に入って席に座る。席に座るとりっちゃんさんが紙を渡してきた。
「全員揃ったから席替えしまーす。渡した紙に番号書いてあるから同じ番号の席に移動してね」
流石、部活の打ち上げなどの幹事をやり慣れているりっちゃんさんだ。こういう時の仕切りも慣れている。僕たちはりっちゃんさんの指示に従って席を移動する。
「りょうちゃんの隣かー」
番号の席に移動すると僕の隣にみはね先輩が座る。なんか気まずそうな表情をしていたが、なんとなく理由はわかるし言いたいことがあったからちょうどいい。
「みはね先輩、暇ならバイト来てくださいよ…今日死ぬほど忙しかったんですからね…」
「あはは。ごめん。で、でも、暇じゃなかったの。さっきまで忙しかったの!」
「え、何?もしかしてみーちゃん、デートとかしてたの!?」
僕とみはね先輩のやり取りを聞いてみはね先輩の隣に座っていたゆき先輩が興味津々な感じでみはね先輩を問い詰め始めるとクリスマス会の参加者全員の興味がみはね先輩が今日何をしていたかに向かって行った。
「みーちゃん、白状しなさい。彼氏、できたの?」
「ま、まだ…いないもん」
「まだ!?まだって何!?え?何!?みーちゃんもリア充の仲間入りするつもりなの?」
「ちょ、ゆきちゃん、落ち着いて、彼氏いないからって妬まないでよ…」
「ね、妬んでないし…それにみーちゃんだってまだいないんでしょう?」
「ま、まだいないだけでもうすぐできるもん。た、たぶん……あっ……」
ゆき先輩に誘導されて自らいい感じの関係の男性がいることを白状してしまったみはね先輩は慌てて口を塞ぐが遅かった……
それからしばらくはみんなでどんな人?とか同じ部活の人?とかみはね先輩に質問をぶつけまくっていてみはね先輩がちょっとかわいそうだった。元はと言えば僕がみはね先輩にバイトの話をしてしまったのが原因だからちょっと罪悪感を感じてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます