第415話 とらないで
あの騒動が落ち着いてから数日が経過する。今日はみんなバイト休みだから普段ならいつものようにみんなで遊んだりしているのだが……
「今日も?なの?」
ちょっとだけ、寂しいから構ってよ!というような感じの雰囲気で僕がみんなに尋ねると、春香とまゆとゆいちゃんはごめんね。また、あとでね。と言い残して春香とまゆの部屋に行ってしまう。リビングでひとりぼっちになった僕はちょっとだけ涙目を浮かべる。寂しい。
最近、春香とまゆとゆいちゃんは夜ご飯を食べてお風呂に入ったりした後、春と電話とかをするようになった。女子会という名目で行われているが、春と一緒にりょうたくんも電話に参加しているのは知っている。りょうたくんだけずるい。僕も混ざりたい。と言ったら、春にめちゃくちゃ拒絶された。お兄ちゃん泣いちゃうよ。
そんなわけで数時間1人でリビングでスマホをいじっていると、春香とまゆとゆいちゃんが戻ってくる。
「りょうちゃん、お待たせ。寝よ」
そう言って春香がソファーに座っていた僕の隣に座ってきたからちょっとだけ拗ねた感じを出してぷいっと首を振ってみる。
「なぁに、りょうちゃん、春ちゃんにやきもちやいてるの?かわいい」
そう言ってまゆが春香とは逆サイドから僕を抱きしめてくる。幸せすぎる。けど…もうちょっとだけ拗ねてやる。
「ねーえ。りょうちゃん、拗ねないで…まゆ、寂しいなぁ」
やばい。めっちゃ抱きしめたい。まゆがかわいすぎるやばい。抱きしめてそのままお布団で一緒に寝たい。
「りょうくん、お布団敷いたからみんなで寝よ」
リビングにいつものようにゆいちゃんがお布団を敷いてくれる。さっきまでだいぶ寂しかったからもう少し意地悪したい。
「今日は1人で寝る。おやすみ」
そう言って立ち上がってリビングを出ようとリビングを歩いていると…
「じゃあ、今からまた春ちゃんに電話して今日は春ちゃんと電話しながら3人で寝ようか」
「あ、賛成!そうしよう」
「りょうくんが1人で寝たいって言うなら仕方ないね」
春香が提案して、まゆとゆいちゃんがニヤニヤして僕の方を見ながらそんなやり取りをしている。みんなずるいよ……
「意地はってすみませんでした」
速攻謝った。僕が謝ると春香とまゆとゆいちゃんは笑いながら冗談だよ。って言ってくれた。冗談でよかった。
結局その日はいつものように4人で寝た。でも、そのあともたまに、春に春香とまゆとゆいちゃんを取られて寂しい思いをすることがある。
まあ、春とみんなが仲良くしてくれるのは嬉しいことなんだけどね……
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