第411話 怖い。
「まゆちゃん、ゆいちゃん、どうしよう。もしかしたらお父さんとお母さん、ここまで来ちゃうかも……」
さっきまでめちゃくちゃ堂々としていたのにアパートに戻ってまゆとゆいちゃんを見て安心したのか、急に慌て始める春香がかわいい。(かわいい。とか言ってる場合じゃないけどかわいいから仕方ない)
「まゆ、ゆいちゃん、大丈夫?」
「うん。私は大丈夫…まゆちゃんが言いたいこと言ってくれたから……」
ゆいちゃんは大丈夫そう。でも、まゆは………
「まゆ、絶対、春ちゃんに余計なこと言ったよね。ますます春ちゃんに嫌われちゃうよね…え、どうしよう……」
と、めちゃくちゃ動揺していた。かわいい。(かわいいとな言ってる場合じゃないけどかわいいから仕方ない)
「まゆ、落ち着いて、ほら、春香も落ち着く」
慌てまくる春香とまゆに落ち着くように言いながら、りょうたくんに連絡を入れておく。春のしたことは正直許せないけど、あれでも妹だから…心配なんだよ。ソファーに春香とまゆを座らせて落ち着かせるためにお茶を淹れてあげると、春香もりょうたくんに連絡をしているのが見えた。なんだかんだで春のことを心配してくれているのだろう。優しい。
「春香、春香のお父さんとお母さんが来ても絶対に春香は渡さないから安心して」
「安心する……」
そう言って僕にギュッと抱きついてくる春香が最高にかわいい。かわいすぎて大好き。
「春香ちゃんだけずるい」
「私も」
春香に続いてまゆとゆいちゃんも僕に抱きついてくる。みんなかわいい。抱きしめちゃう。
そんなやり取りをしているとアパートのインターホンが鳴る。誰かと思って確認すると、春とりょうたくんだった。
「私、行ってくるね。りょうちゃんはまゆちゃんとゆいちゃんをそうやって抱きしめてあげてて」
「春香、ありがとう」
「いえいえ、元はと言えば昔から躾けてなかった私が悪かったわけだし…」
春香ちゃん、ちょっと…怖い。春を見て少しだけ震えていたゆいちゃんだったが、今の春香のセリフを聞いて更に震えてる………
「春香、ほ、ほどほどに…ね……」
「は、春香ちゃん、ま、まゆ…あまり、気にしてないから…ほどほどにしてあげて……」
春に散々傷つけられたはずのまゆまで春に同情してしまっている。僕にギュッと抱きついているゆいちゃんもまゆの言葉に合わせてうん。うん。と首を振ってくれている。それくらい…今の春香は怖かった。まじで、過去一レベル……見てるだけで怖い。泣きそう。ぴえん。
「まあ、殺したりはしないから大丈夫」
殺したりはしないって何!?半殺しとかにはしちゃうの!?ほ、ほどほどにしてあげてください。ていうか暴力はダメだよ。
僕とまゆとゆいちゃんが固まって震えてリビングから春香を見送ってしばらくするとりょうたくんだけがリビングにやってきた…春香と春は?
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