第387話 ケシキ
「正直言って…お姉ちゃんとだけ一緒にいて欲しかったって言うのが本音です。ずっと、2人を見てきたから…僕は春ちゃんと、いつか、りょうさんやお姉ちゃんみたいに2人で幸せになりたい。って思ってましたから……」
申し訳なさそうにりょうた君は僕に言う。
「でも、りょうさんのこと、すごいって思います。僕は今、春ちゃんを幸せにしてあげたいんです。僕なんかで、春ちゃんは満足してくれるのか、僕なんかで本当に春ちゃんは幸せなのか。って何回も考えて…」
春が聞いたら怒るだろうな。そんな風に自分を悪く言うな。って…春は本当に、幸せそうだから。それに比べて…僕は……
「僕は、1人の大切な人すら幸せにできてるかわかりません。でも、りょうさんはお姉ちゃんもまゆさんもゆいさんもみんな幸せにしててすごいと思います」
「みんなを…幸せにできてるのかな……」
「できてますよ。お姉ちゃん、本当に幸せそうだし、お母さんによく電話で本当に幸せ。って言ってるみたいです」
「そう…なんだ」
めちゃくちゃ嬉しかった。春香が、本当に幸せ。って思ってくれてるなら…まゆとゆいちゃんも、幸せそうにしていてくれてるのなら…僕にとって、最高の幸せだ。
「だから、自信持ってくださいよ。りょうさんは本当にすごい人で、僕の憧れなんですから」
「妹に、平気で三股するクズ。って言われてる人に憧れたらダメだよ」
僕が冗談でそう言うとめっちゃ笑われた。そんなに笑わないでよ。
「りょうた君、春はさ、りょうた君と一緒にいられて本当に幸せそうだからさ、りょうた君も自分に自信をもちなよ。これからも春のことお願いします」
そんなやりとりをしながら温泉に入る。その後のやり取りはお互い、彼女のかわいいところ自慢が始まった。まゆとゆいちゃんのここがかわいい。と言うのはりょうた君も同意してくれるのだが、春香のここがかわいい。と言ってもりょうた君は納得してくれない。逆に、春のここがかわいい。とりょうた君から語られても1ミリも同意できないし、嘘だ〜と思うようなエピソードがあって面白かった。
お互い、妹と姉のかわいい自慢を聞かされ合う謎の時間を過ごしながらゆっくりと温泉に入っているとめちゃくちゃ長風呂してしまった。
温泉から出てスマホを確認すると、春香から連絡が来ていて、女性陣は先に部屋に戻っているみたいだったので、りょうた君と一緒に部屋に戻る。
「ぅをい。くそあにきぃ。今からぉ説教だからぁ。そこにぃすわれぇ」
…………
部屋に入った瞬間、春にそう言われて僕とりょうた君は時が止まった。え、何これ?ん?ていうか、何か…匂う……
「えへへぇ。りょうちゃんだぁ」
春香に思いっきり抱きつかれた。あの、顔…赤い…よ……
「春香ちゃんだけずるぅい。まゆもぉ」
まゆにも思いっきり抱きしめられる。顔真っ赤…え、やばい。
「りょうくん…すきぃ……」
ゆいちゃんまで抱きついてきた。顔、赤いよ。
お、お酒は…20歳に…なってから……
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