第383話 ナカヨシ
「えへへ、春ちゃんとデートだ」
そう言ってスキップしながら春ちゃんと一緒に旅館の廊下を歩く。
「デートって…ただ買い出しに行くだけですよね……」
私たちが借りてるお部屋でお喋りしながらぐだぐだしていると喉が渇いたり小腹が空いたりしたので、じゃんけんで負けた2人が買い出しに行こう。とりょうくんが提案した。その結果、私と春ちゃんが偶然負けてしまい2人でデート…ではなく、買い出しに行くことになった。
「ほら、春ちゃん、手、繋ごう」
「は?絶対嫌…」
めっちゃ拒絶されてるけど憎めない…だってかわいすぎるんだもん。あーもう。かわいい。誰に似たんだろう…きっとお兄ちゃんに似たんだなぁ。
「せっかく2人になれたんだからさ。ツンツンしてないで仲良くしようよ」
「は?ツンツンとかしてないし、あなたと仲良くする気はありません。春香ちゃんとまゆちゃんが認めてようが関係ないから…私はあなたのことなんか認めてません。だから仲良くする気は一切ありません」
めっちゃ拒絶されてるなぁ。まあ、でも、かわいいから何言われても許しちゃう。
「そっか…残念だなぁ……」
「………」
私が残念がってちょっと落ち込んでいるとチラチラと私の様子を伺って申し訳なさそうな表情をする春ちゃんかわいすぎる。え、何?これがツンデレ?かわいすぎかよ。
「春ちゃん、少しお喋りしよ」
「まあ、それくらいなら……」
「ありがとう」
やばいなぁ。春ちゃんがいちいち可愛すぎるよ。今すぐ抱きしめたいレベル。
「春ちゃんはさ、りょうた君のどういうところが好きなの?」
「一途なところです。どこかのクズ兄貴とは違って…もしりょうたがあのクズ兄貴みたいなことしだしたら全力でしばき倒します」
即答…お兄ちゃんのことそんな酷く言わないであげて…可哀想だから…
「たしかに三股してるクソ野郎とか言われても仕方ないけど、りょうくんは私たち全員幸せにしてくれてるし、大切にしてくれてる。それが、どれだけ大変なことか…三股して相手を傷つけるなら、そう言われても仕方ない。でも、りょうくんはクズなんかじゃないよ」
「うるさ……」
りょうくんのことをクズとか言われて、ちょっとイラッとしてちょっと真面目な感じで言ったら、雰囲気を悪くしてしまった気がする。
そのまま売店まで無言で歩いて旅館の売店で頼まれていたお菓子やジュースを買う。買い物をしている最中も、春ちゃんは私のことが気に食わないのか、もう、まともに話すことさえしてくれなくて、すごくショックだった。
大好きなりょうくんの妹で、もしかしたら将来、妹になるかもしれないこの子とは仲良くしておきたいし、何より、春ちゃんと言う人と仲良くなりたい。だって、春ちゃん、かわいくてすごくいい子だもん。
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