第369話 ネタバレ
「りょうちゃん、おはよう」
「りょうくん、おはよう」
「春香、ゆいちゃん、おはよう」
いつも通りの朝だった…ちょっとだけ…期待していたのにな…だって今日は僕の……
「りょうちゃん、春香ちゃん、ゆいちゃん、朝ごはんできたから早く食べて。学校遅刻しちゃうよ」
「「「はーい」」」
ちょっとだけ、残念ではあったが、まあ、いいか。だって、今、僕は幸せだし、これ以上を望むのは欲張りだろう。
いつも通りの朝を過ごして大学に向かう。同じ授業を受けていた陽菜からお祝いしてもらって、りっちゃんさんとさきちゃん、こうくん、及川さんとかいろいろな人からお祝いの連絡をもらった。
大学の講義が終わった後はまゆと合流してまゆと一緒にバイトに向かう。
「りょうちゃん、誕生日おめでとう!」
バイトの準備をしていると僕たちより少し後に入ってきたみはね先輩が笑顔で僕をお祝いしてくれた。
「これ、プレゼントね。まゆちゃんからのプレゼントに比べたら全然大したものじゃないけどさ」
「あ、ありがとうございます…」
みはね先輩の隣で超絶不機嫌そうな表情になるまゆを見てなんとなくだけど状況は察した。
「まゆちゃんからプレゼントもらった?この前、まゆちゃんにプレゼント選ぶの手伝って!って言われたから一緒に選んであげたんだけど、どうだった?」
「みーちゃんのバカー!サプライズでりょうちゃんの誕生日お祝いする予定だったのに!今頃、アパートで春香ちゃんとゆいちゃんがりょうちゃんの為に頑張っていろいろ料理作ったりしてくれてるし、帰ったらいっぱいりょうちゃんの誕生日お祝いしてプレゼント渡す予定だったのに、なんで言っちゃうの!?」
「え、あ、ごめん…でも、まゆちゃん…結局、全部自白しちゃったけど…大丈夫?」
「え…あ……」
「な、何も聞いてなかったよ……」
とりあえず、何も聞いてないことにしておいた。うん。僕は何も聞いてない。
「まゆ、帰ろう」
バイトが終わりまゆに声をかけるとまゆはすごく不貞腐れた表情をしていた。みはね先輩、責任とってなんとかしてください。
と、思いながらみはね先輩の方を見ると、みはね先輩はさっさと荷物を片付けて逃げるようにして帰って行った。責任とってよ!
「ほら、まゆ、帰ろう」
とりあえず、帰らないといけないのでまゆに手を伸ばすとまゆは不貞腐れた表情で僕と手を繋いでくれた。
「………春香ちゃんとゆいちゃんの前では、ちゃんと驚いてあげて…2人とも、いっぱい準備してくれてるから」
「何の話?」
僕は何も聞いてないよ。
「なんでもない。帰ろ」
やっと笑顔を見せてくれたまゆと駐車場まで歩いてまゆの隣に座る。
「りょうちゃん、時間あるからちょっとだけドライブしていい?」
「いいけど…大丈夫なの?」
「うん。許可もらってるし、そういう指令だから」
「了解。じゃあ、運転お願いします」
「はーい」
だいぶまゆのご機嫌も元通りになり、どうでもいいような話をしながら海沿いをゆっくり走る。こんな些細な出来事でも、十分すぎるくらい幸せなのに、この後、もっと幸せになれるのか。と考えたら帰るのがすごく待ち遠しく感じた。
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