第312話 女子会
「はい、春香ちゃん、ゆいちゃん、スマホ出して。明日、帰るまでスマホは没収です」
女子会の幹事をすることになったまゆは春香ちゃんとゆいちゃんのスマホを没収する。ゆいちゃんはりょうちゃんと連絡取れないのは嫌…と少し渋ったが、多少強引に没収した。もちろん、まゆもスマホを封印する。アパートから持ってきた小さな鍵付きの箱にスマホを3ついれて箱の蓋を閉じる。箱の鍵は春香ちゃんに預けてスマホが入った箱はまゆの車に封印する。まゆの車の鍵はまゆしか持っていなくて、箱の鍵は春香ちゃんしか持っていない。これで勝手にスマホを使用することは出来なくなる。
「さて、それじゃあ、女子会始めよっか」
「女子会って言っても何するの?」
ゆいちゃんの部屋で夜ご飯を食べながら春香ちゃんがまゆに尋ねる。ぶっちゃけ突然すぎてまゆも何したらいいのかよくわかってない。
「と、とりあえず、ゆいちゃんにまゆと春香ちゃんのことをりょうちゃんと同じくらい好きになってもらわないといけないよね。だから、えっと…そ、そうだ。3人でお風呂入ろう。とりあえず、親睦深めよう」
「うちのお風呂そんなに広くないです…」
「銭湯行こ。まゆのバイト先の近くにスーパー銭湯あるからそこ行こ。ゆっくり3人でお風呂入ってゆっくりお話しするところから始めよう」
と、言うわけで夜ご飯を食べた後に3人でまゆの車に乗ってスーパー銭湯に向かう。ゆいちゃんがスマホが入った箱をジト目で見ていたが気にしない。
「まゆちゃん…自分から提案して不機嫌になるのはやめてよ……」
「別に不機嫌じゃないもん。拗ねてないもん。おっぱいは黙って」
「暴言が酷いよ……」
春香ちゃんは引きつった笑みを浮かべながら呟く。誤算だった。春香ちゃんもゆいちゃんもまゆと比べてクソでかい…ま、まな板じゃないから…2人が大きいだけでまゆだって…へ、平均くらいは………
というわけで1つ目のお風呂で仲良し大作戦は失敗に終わった。まゆは悪くない…あんなものを自慢げにぶら下げている春香ちゃんとゆいちゃんが悪いんだもん。
「ま、まゆちゃん、えっと…む、胸だけが全てじゃない…ですよ」
「変にフォローしないで……」
フォローになってないから。傷をえぐってるだけだから。ほんと、やめて…まゆ、泣いちゃうよ。今、まゆが泣いたら大変だからね。慰めてくれるりょうちゃんがいなかったらまゆ、ずっと泣き続けるからね。
夜も遅かったのでスーパー銭湯でお風呂に入ってリラックスしたらすぐにゆいちゃんのアパートに戻る。
「ゆいちゃん寝ちゃったね…」
「まったく…ゆいちゃんが起きてなかったら意味ないのに…」
2つ目の映画で親睦会イベントもゆいちゃんが帰って速攻寝落ちした為、不発に終わった。
「布団ちゃんと被らないと風邪ひくよ。風邪ひいたら、治るまでりょうちゃんと一緒にいさせないからね」
そう言いながら春香ちゃんはゆいちゃんに布団を被せてあげる。なんか、春香ちゃんがゆいちゃんのお姉ちゃんみたいだ。
「りょうくん……大好き……会い……たい………」
まーた寝言言ってるよ。かわいいなぁ。どれだけりょうちゃんのこと大好きなんだろう。まあ、気持ちはわかる。まゆも、今、りょうちゃんにすごーく会いたいから。
「春香…ちゃん……まゆ……ちゃん……」
「「!?」」
寝言でまゆと春香ちゃんの名前を呟くゆいちゃん…びっくりしてまゆも春香ちゃんもゆいちゃんに目を向けた。ぐっすり眠っている。
寝言で名前を呼んでもらえるくらいには、まゆも春香ちゃんもゆいちゃんに愛されてるってことなのかな……でも、もし、まゆと春香ちゃんがその立場にすでにいるのなら…今回の女子会で目的地を達成しても、根本的な問題は解決されないのではないか。と不安になる。
ゆいちゃんが、既に、まゆと春香ちゃんのことをりょうちゃんと同じくらい好きだった場合、今回の女子会で何も改善されないだろう。そうなったら…お手上げかもしれない。
考えにくい話だが…これと言ったことを何もしていないこの女子会の数時間でゆいちゃんのまゆと春香ちゃんに対する好感度が上がった。と祈りたい。
「ゆいちゃん寝ちゃったし私たちも寝ようか」
「そうだね。おやすみ」
「うん。おやすみ」
春香ちゃんにおやすみを言って、まゆと春香ちゃんはゆいちゃんを挟んで横になって、ゆいちゃんの腕を抱き枕のようにして眠りについた。
りょうちゃんは今頃、何をしているのかなぁ。寂しくて泣いてないかなぁ。もう、寝ちゃったかなぁ。早く会いたいなぁ。
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