第258話 お祭り
帰省3日目のお昼は春香の実家で春香のお母さんの手料理をいただいた。春香のお母さんの料理はめちゃくちゃ美味しくて、春香の料理上手はお母さん似なんだな。と思う。
お昼ごはんを食べた後は近所の散歩をしたりゆっくり過ごして夕方の少し前に春香の実家から僕の実家に移動する。そして、まゆが台所に立ち、僕のお母さんから料理を習って夜ご飯を作っていた。
「りょうちゃんのご実家の家庭の味の料理、まゆも作れるようになるから!」
と、やる気満々だったまゆは春香と僕のお母さんと楽しそうに料理している。僕は…暇だ……なんかグダグダしてるのも申し訳ないしどうしよう…と結構な時間考えていると夜ご飯が完成し、春とりょうた君も帰ってきたので夕方の早い時間に夜ご飯をいただいた。春香とまゆが作ってくれた料理はやっぱり最高でした。
「お兄ちゃん、りょうた、覗いたら容赦しないからね」
「「はーい」」
僕とりょうたくんにそう言い残して、春は春香とまゆを連れて春の部屋に入る。僕はりょうた君を連れて自分の部屋に向かう。
「春とは本当に上手くやれてる?ほら、かわいらしさのカケラもないわがままな妹だから心配で…」
部屋で着替えながら僕はりょうた君に尋ねる。りょうた君と2人きりになるタイミングがあったら聞こうと思っていたことだ。やっぱり、兄として気になるし、りょうた君に本当に迷惑かけてないから心配だ。
「何回かケンカしたり、春ちゃんにいじわるされたり、いろいろ大変なこともありましたけど、本当に毎日楽しいですよ。なんだかんだで毎日一緒にいて…もう、春ちゃんのいない日々なんて考えられないです」
「どうしようもない妹だけど、これからもよろしくお願いします」
りょうた君の表情で、りょうた君が嘘を言っていないことがよくわかった。だから、これ以上は何も言わない。妹とりょうた君の幸せを兄として願うばかりだ。
そういえば、春香は春とりょうた君のこと、何も心配していないようだったけど、春香のことだから、きっと、とっくの昔に春とりょうた君のことを信じていたのかもしれない。
そんなことを考えていると着替え終わったので僕とりょうた君は玄関に向かう。
「「りょうちゃん、お待たせ」」
「りょうた、お待たせ」
声をかけられてので振り向くと目が幸せでいっぱいになった。
「「「どう?」」」
「春香もまゆもめっちゃかわいい」
「春ちゃん、かわいい」
春香とまゆの浴衣姿を見て僕が発狂して、春の着物姿を見てりょうた君が発狂する。
今日は今から、地元の小さなお祭りがある。昔はよく行っていたお祭りだが、高校の時くらいから行っていなくなっていて、たまたま帰省とタイミングが一致したため、春香とまゆと一緒に行く予定だった。最初は浴衣を着るつもりはなかったのだが、お母さんが春とりょうた君の浴衣も用意するからついでに…と、僕と春香とまゆの分の浴衣も用意してくれた。春香とまゆの尊い浴衣姿を見させてくださったお母様にまじで感謝!
「りょうちゃん、行こ…」
「う、うん…」
浴衣姿の春香に腕をギュッと抱きしめられてめっちゃドキドキする。その、浴衣だとさ、春香の胸の形とか割とダイレクトに伝わってきてやばい…それと同じことを春にされてりょうた君は顔を真っ赤にしていた。
5人でお祭りが行われている場所まで行って、後で合流する約束をして別行動をすることにした。
「懐かしいね。昔、陽菜ちゃんが迷子になって私とりょうちゃんで探したよね」
「あー懐かしいね」
昔の話をしながら僕は春香とまゆと一緒に屋台がたくさん並んでいた通りを歩く。
「そういえば、陽菜ちゃんもここで育ったんだったね」
「うん。そうだよ。陽菜は小学校の頃引っ越したけどね」
「陽菜ちゃんとりっちゃんも今度は誘いたいね」
春香がそう言うと僕もまゆもそれいいね。と言って道を歩く。昔の幼馴染み3人でこの道をまた歩く。きっと、懐かしいと言う感情を味わったり、他にもいろいろな感情を抱くのだろうな…
「まゆ、何食べたい?」
「まゆ、たません食べたい!」
「「たません?」」
まゆから突然飛び出したたません。と言うワード、僕と春香は何それ?と言うような表情をする。
「え?知らないの?たませんだよ」
「「何それ?」」
「え、ほら、目玉焼きをでっかいせんべいで挟んでソースとマヨネーズと青のりかけて食べるやつだよ」
「「何それおいしそう」」
気になって調べてみたのだが、たませんは一部の地方の祭りの屋台でよくあるらしい。実際かなりおいしそうで、今度まゆが作ってあげる!とまゆが言ってくれたので、僕と春香は楽しみにすることにした。
こちらの祭りにはたませんはないので、別のもので楽しもう!と言うことになり、気を取り直して春香とまゆと手を繋いで屋台通りを歩いた。
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