第94話 プレゼントとハプニング
「じゃあ、そろそろプレゼント渡していいかな?」
夕食を終えて僕とりっちゃんさんで夕食の後片付けを終えるとりっちゃんさんが鞄からプレゼントを取り出す。それを見てまゆ先輩も鞄からプレゼントを取り出して僕も、昨日春香から一度返してもらった2つ目のプレゼントを部屋から持ってきた。
春香はありがとう。と言いながら嬉しそうにプレゼントを受け取った。りっちゃんさんがさっそく開けてみて、と言うので春香はプレゼントを開け始めた。
「あ、これこの前りっちゃんが付けてたやつ?」
りっちゃんさんからもらったプレゼントを見て春香は嬉しそうにりっちゃんさんに尋ねた。
「うん。私がたまに付けてる香水だよ。春香ちゃん良い匂いって言ってくれたし、春香ちゃん普段香水付けないからいいかなって」
「え、すごく嬉しい。ありがとう。今度付けてみるね」
「うん。りょうちゃんとデートする時に使って」
「う…うん…ありがとう」
りっちゃんさんがニヤニヤしながら言うと春香は少し恥ずかしそうに返事をした。かわいい…
「次、まゆのやつも開けてよ」
「うん。ありがとう」
春香はまゆ先輩にそう応えながらまゆ先輩からもらったプレゼントを開ける。まゆ先輩からのプレゼントはヘアミルクとバームセットだ。可愛らしいポーチも一緒についていて春香はプレゼントを見てかわいい。とかなり気に入っていた。
「喜んでくれたかな?」
「うん!すごく嬉しい!ありがとう」
「ならよかった」
まゆ先輩も春香もすごく嬉しそうだった。
「じゃあ、〆はりょうちゃんだね。りょうちゃんのことだからまゆとりっちゃんのプレゼントが霞んじゃうくらいのものを用意してるんだろうなぁ…」
「変なプレッシャーかけてハードル上げないでよ…ていうかまゆは中身知ってるじゃん」
「えへへ…ごめんごめん」
まゆ先輩は少し舌を出して自分の頭をコツンと叩きながら僕に謝る。何その謝り方…少しあざとい気がするけどめちゃくちゃかわいい……
「じゃあ、りょうちゃん、開けさせてもらうね」
「うん」
春香は僕のプレゼントを開ける中身はリップクリームとそれをしまっておくケースだ。まゆ先輩が女子大生がもらってかなり嬉しいものだと思う。とおすすめしてくれたもので、普段あまり化粧をしないため化粧品をあまり持っていない春香にプレゼントしたら喜んでもらえるかなと思ってこれにした。
「え…このケースめっちゃかわいい。めっちゃ好き。え、ありがとう」
春香はめちゃくちゃ嬉しそうな表情で僕に言う。春香がめちゃくちゃ嬉しそうな表情をしてくれたので僕はかなり満足だ。春香の反応を見たりっちゃんさんはたぶんどんなプレゼントでもりょうちゃんからのプレゼントなら春香ちゃんなら満足するよね…と笑っていた。それを聞いたまゆ先輩がまゆもりょうちゃんからのプレゼントならなんでも嬉しいよ。と笑顔で言ってくれた。まゆ先輩もかわいい…それを聞いたりっちゃんさんはこのバカップル共め…と呟いている。
「りょうちゃん、まゆちゃん、りっちゃん、本当にありがとう。プレゼント、大切に使わせてもらうね」
「「「うん」」」
今日1番の春香の幸せそうな表情を見ることができて僕たちは満足できた。
「じゃあ、最後にケーキ食べよう」
りっちゃんさんがそう言いながら割と小さいサイズの誕生日ケーキを運んできてくれた。丸いショートケーキに蝋燭を何本か刺して火をつけて部屋の電気を消す。
「春香ちゃん、一気に消しちゃって」
まゆ先輩はそう言いながら記念にスマホで動画を撮り始める。僕も写真撮っておこうかなと思い春香とテーブルを挟んで向き合う形になるように移動した。僕の移動が終わり僕がスマホのカメラを春香に向けようとすると、春香は深く息を吸った。
完全にいつもの癖だろう…チューバを吹く時のように深く息を吸って思いっきり息を吹き出した。蝋燭の火を消す為に過剰すぎるほどの勢いで息が吹きかけられて、蝋燭の火は一瞬で消滅した。そして、驚いたことに飾り付けで並べられていたかなり小さいサイズにカットされていたイチゴが一つ吹き飛ばされて僕の口の中に収まった。
「「「「……………………」」」」
一瞬、静寂が訪れた。台所の電気しか付いていなかった為、何が起こったか理解するまでに少し時間がかかっていた。そして、何が起こったのかを理解した僕たちは一斉に笑い始めた。まゆ先輩は笑いながら動画を確認したが、暗くて上手く写ってない〜と悔しそうにする。りっちゃんさんは春香ちゃん、本気すぎ…と春香を揶揄い春香は恥ずかしそうな表情をして下を向いた。そんな春香にイチゴ美味しかったよ。食べさせてくれてありがとう。と僕が言うと春香は恥ずかしそうな表情のまま僕に抱きついてきた。ほんとうにかわいいな…そんな春香を見てまゆ先輩がズルい…と言い僕に抱きついてきた。あ、まゆ先輩もかわいい……
春香の恥ずかしさが若干収まって春香が僕から離れた後、僕たちは春香の誕生日ケーキを切り分けて美味しくいただいたのだった。
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