残飯その17 身分


 大きな鉄扉の向こう側。

 屋敷の一角の窓辺に立つ。

 そんなあなたを眺める日々。

 図々しくも恋い焦がれていた。


 ぼくは一介の兵士。

 あなたは未来あるご令嬢。

 身分の違いを背に受ける。

 それでもあなたの笑顔が素敵で、

 懲りずにずっと片想い。


 実らぬ恋とは知っている。

 望むことはただ一つ。

 あなたの視線を独り占めしたい。

 振り向いてくれることを願って、

 ぼくは銃剣を喉元に突き刺す。

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