三男の画策(学生時代)

(……可愛いなぁ、僕らの未来のお嫁さん)

(もう少しだけ、この状態を楽しむってのも、面白そうだよね?)


 自分の感情と相手の機微に振り回されて、落ち着かなくて衝動のままに躰が動きそうなのを我慢する。誰かと話していたり、誰かに笑いかけていればムカムカして、爪が肌に食い込んでいつの間にか血だらけなんてザラだ。逆に自分にだけ違う感情リアクションを見せてくれて、もっと楽しそうにしてくれると胸の中がむず痒くて、温かいもので満たされる。

 人生は早いもの勝ち。自覚したばかりだけど、欲しいと思ってしまったら後はもう懸命に策を施し、近づいてきたところに手を伸ばすだけだ。彼女の態度を見れば、勝率はゼロというわけでもないみたいだし。

 予定に入れて進めそうになった計画は、一旦保留として置く事にした。もう暫らくは『仲良しこよしの先輩後輩』のままでいるべく、世鷹は今目に見えている黒猫との関係を維持する事にしたのであった。


(いつ君を食べてしまおうか。君の全てを手に入れて、滅茶苦茶にして、どうか僕らを許さないで。許しは忘却の一端になってしまうから)

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