アンダハンド
鷹山トシキ
第1話
アンダハンドとはテニスの下手投げ、不正、秘密などを意味する。
2020年7月から8月にかけて伊豆稲取の有料老人ホーム『カミーユ』にて相次いで入居者3人が転落死し、初動捜査では変死として処理されたものの殺人事件の可能性が疑われていた。2020年9月16日、静岡県警はこの件に関わった元職員の志田洋(当時23歳)を殺人容疑で逮捕した。
7月1日
修禅寺にある屋敷に住む矢島正孝が、医師の及川裕翔とゴルフをしている最中、断崖の先端の地面の割れ目に男が落ちているのを発見する。2人は崖下に降りていくが、男は既に虫の息であった。及川医師が応援を求めに村に向い、矢島が1人になって数分後に男の意識が突然戻り「なぜ、ノリオに頼まなかったのか?」と言い残して死んでしまう。
矢島が男のポケットに入っていた美しい女性の写真を見た後、堺昭と名乗る男が現れ、4時に屋敷に戻らなければならない矢島はこの男に後を任せて帰宅する。
翌日、友人に会いに伊豆高原駅へ行った矢島は、帰りの特急踊り子号の中で幼なじみで、お嬢様の中川春奈と再会する。春奈が指し示す新聞記事で矢島は、死んだ男が持っていた写真は女優の安達美月で、死んだ男は美月の兄の綾瀬明慶であることが判明したことを知る。
翌日、伊豆警察署前で安達美月を見た矢島は、写真のチャーミングな美人から変わり果てた中年婦人の姿に失望する。事故死の評決が下された後、夫とともに訪ねてきた美月から何か兄の遺言がなかったかと尋ねられた矢島は、その場では特に何もなかったと答えるが、後日、「なぜノリオに頼まなかったのか?」と言っていたことを思い出し、夫人に手紙で知らせる。
その後、矢島は東京から月30万の仕事の話が舞い込むが、友人とオリンピック関連の事業を開業する準備を進めていたために、東京には行かなかった。さらに矢島は数日後、伊豆高原駅の軽食屋に行って昼食で飲んだビールに致死量のモルヒネが入っていたため命を落としそうになる。奇跡的に一命を取り留めた矢島を見舞いに来た美月に矢島は、『駿河新聞』に掲載されていた死んだ男のポケットに入っていた安達美月の写真が、矢島が見た写真とは別のものであることを示し、2人は写真がすり替えられたもので、すり替えたのが堺であり、美月も事件に関係していることを知る。
さらに2人は、死んだ男は実は綾瀬明慶ではなく身元不明のXで、堺がXを崖から突き落として殺し、Xの身元を知られたくなかったため写真をすり替えたのだと推理する。そして、「なぜノリオに頼まなかったのか?」は犯人たちにとって何か重要な言葉ではないかと。
事件の解明のため2人は、堺家が伊豆多賀に所在することを突き止め、屋敷の前で中川春奈がわざと事故を起こして屋敷に担ぎ込まれるように仕組み、伯爵令嬢の身分も利用して堺家の客として潜入する。中川春奈は堺から、屋敷の当主で兄の昭二がモルヒネ中毒になっていること、屋敷の近くに中毒患者を治療する病院があり、中国人のリーが経営していると聞く。
春奈が晩餐の席で崖から落ちて死んだ男の話を話題に持って行き、新聞の切り抜きで写真を昭二の妻の久子に見せると、少し前までいた博物学者で探検家の石原紀香にそっくりだという。
一方、矢島は中川春奈の運転手の春川菜々香として地元のパブで情報収集し、リーの病院には身内に見捨てられた患者が監禁されていると聞き、試みに夜中に庭に侵入すると、そこで写真の女性に出会う。その場では引き返した矢島だが、後日、宿泊している旅館に彼女の訪問を受ける。彼女はリーの妻、雪代であった。雪代は夫が久子と結婚したがっており、そのため自分を殺し、さらに昭二も入院させて殺そうとしている、そのために堺に昭二を入院させようと口説いているという。
矢島は彼女に石原紀香を知っているかと尋ね、彼女は結婚前から知っており写真を上げたことがあるという。
矢島はメチャクチャ頭が悪い。
伊勢崎ノリオが犯人だとずっと思っていたらしい。
馬鹿な奴、死んでしまえばいいんだ!
村瀬はそう思った。村瀬は矢島からパワハラを受けていた。村瀬は矢島のせいでホームレスに落ちぶれた。
不正受給をしたいと村瀬は思っていた。
大阪府河内長野市の調査では、市職員が生活保護費を着服していたとみられる問題で、2009 - 11年に2億6000万円の被害があったとされている。
東京都北区では、生活福祉課相談係の通称「住所不定チーム」に所属して住所不定者を取り扱う40代と、60代職員が、調査時点で各8600万円、1,300万円の生活保護費を、死亡者が生きているように装いまたは転出の事実を隠して不正に支出し、横領していた。 同チームの保護費抜き取りなどの不適切な金銭の取り扱いは平成24,25年度時点で管理職も把握しており、住居喪失被保護者等支援業務委託の導入で一時期改善が図られるも、同事業は27年度を持って終了し、最終的に有効な策が取られることがなく放置され、その事実は2019年の任期満了に伴う区長選挙への影響を鑑み、公表されていない。
不正なことはしちゃいけないな?
コロナで2020年のオリンピックは潰れた。
日本国内のムーブメントとして、日本らしさをどうビジネス化するか?に注力する向きが多い。一方で、「クロスカルチャー」という逆の考え方も志向すべきである。つまり、海外から訪れる外国人のために、彼らの個々の文化性に馴染んだサービスを提供することで彼らとの距離を縮める、という考え方である。流入する外国人を詳細にセグメントし、彼らのアンダーグラウンド(宗教、法制度、生活習慣、趣味志向、キャッシュフローなど)を理解し、それに応じたサービスを提供するのだ。決して、「NIPPON」を押し売りしてはならない。押し売りしていいのは、彼らの期待をはるかに凌駕するサービスにおいてのみ、である。
矢島は頭が痛かった。本当にこんなことできるのだろうか?
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