189 合流・Ⅱ

 どうも、リビングアーマーの俺です。


 兜パーツと、腕パーツと、冒険書パーツだ。


 ……冒険書パーツってなんだよ。


 いや、でも実際そうなんだからしょうがない。


 現状、冒険書にも俺の意識が宿っている状態。


 で、一緒にいるのは。

 人犬族のロロコ。

 ドワーフ嬢のアルメル。

 ドラゴン娘のドグラ。


 みんなで火吹き鳥から逃れて、扉から出た先には街があった。

 その街のそこら中に砲台があって。

 砲台からは大砲がドンバンドンバン放たれていた。


 そのうちの一つがこちらに飛んでくる。


〈危ない!〉


 兜パーツの苔モンスターの力で地面を操り、防壁を出現させる。


 ――ドゴオオオオン!


 大砲は壁に激突して轟音を立てた。


 ふう……危なかった。


「リビたん、後ろ」


 とロロコ。


 うわ、危ねえ!


 ――ドゴオオオオン!


 なんとかまた防壁で防いだけど。


 おかしいぞ。

 さっきまで後ろに砲台なかったじゃん!


 ドグラが周囲を見回しながら言う。


「おかしいのう。この街、好き勝手に変形しておるぞ。それに妙な魔力を伴っておる」


「これは……まさか、街全体がモンスター?」


 アルメルが言う。


〈そんなことがあるのか?〉


「はい。ええと、正確には、実態を伴った幻というか……。ファントムシェルって言って、貝の形をしたモンスターがこの街を出現させているんだと思います。幻と言っても魔力で構成されていますので、攻撃を受ければ、ダメージはあります」


 ってことは、この攻撃を止めるには、本体の貝を見つけなきゃいけないってこと?


 面倒くさいなぁ。


「ほう、本体というのは、あの辺にいるやつかの」


 と、ドグラが一点を見る。

 彼女の指先から巨大な炎が噴き出す。


 ボワーーーーーーッ!


 火炎放射器!

 すごい勢いで火が立ち上り、なんか海産物料理的ないい匂いが漂ってくる。

 そして周囲の街がすごい勢いで消失していく。


 うわー……。

 このドラゴン、敵じゃなくて本当によかった……。


 ……?


 あそこに誰かいるな。

 あれは……。


 クラクラとラファ!


 それに俺の両脚と胴体!

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