177 胴体とラファ・Ⅱ
どうも、リビングアーマーの俺です。
こっちはゴブリン娘のラファ。
そして胴体パーツだけの俺の中にどんどん消えていくコウモリたち。
いや、鎧の内側に入り込んできてるって意味じゃない。
中は、今ラファが着ている状態だから入り込めないしな。
そうじゃなくて、鎧の表面にぶつかったコウモリがそのまま吸収されてしまう。
もう百匹くらいだろうか。
「リビタン、大丈夫なの?」
〈わからん……〉
ラファに聞かれるけど、そう答えるしかない。
なにしろ避けようがないのだ。
前も後ろもコウモリ。
左右は洞窟の壁。
上は天井。
そして下は溶解液の池だ。
どこにも逃げようがない。
やがてコウモリの突進が収まってきた。
異変に気づいて引き返していく個体が出てきたのだ。
それに、群れ自体もだいぶ数が減っていた。
俺たちへの攻撃を諦め、去っていくコウモリたち。
ふう……なんとかなったか。
――ブワアアアアアアアア!
うわー!
なになに!?
一息つけたと思ったとたん。
またコウモリが大量に出現した。
どこから現れた!?
と思ったら違う。
これ、俺の身体から飛び出してる!
「リビタン、どうなってるの!?」
〈わからん!〉
俺が知りたい!
俺の身体から飛び出したコウモリは、仲間を追って飛び去っていく。
どうやらさっき俺の身体に飛び込んで吸収された奴らのようだ。
なんなんだ?
なにがしたいんだ、俺の身体……。
〈……ん?〉
「どうかした?」
〈いや、なんか身体の調子が……〉
「お腹壊した? あんなにたくさん食べるから」
いや、食べたわけじゃないからね?
食べたとしても、もう全部吐き出しちゃったし。
……長らくもの食べてないよな。
コウモリって食ったら美味いのかな?
コウモリ……。
コウモリの魔力……。
ん?
これは……。
「ねえ、リビタン本当に大丈夫?」
〈コウモリの魔力がある……〉
「え?」
胴体パーツの内部に、さっき吸収して吐き出したコウモリの魔力が残っている。
その魔力を鎧に刻まれている術式に流して変化させる。
そして放出!
――ごおおおおおおおお!
「うわー!」
〈ぎゃー!〉
鎧の胸覆い部分からすごい勢いで風が吹き出し、俺たちは後方へ吹き飛ばされた。
これ、風魔法じゃね!?
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