170 天空塔ダンジョン攻略……できない?

 どうも、リビングアーマーの俺です。


 天空塔ダンジョンに突入した俺たち……なんだけど。


 なんか身体が浮き上がってます。


 ダンジョンの入り口は巨大な両開きの扉。

 それを潜ると玄関ホールのような大広間があった。


 左右に螺旋階段があって、それがぐるぐると渦を巻くように上のほうまで伸びている。


 天井は見えない。


 ずっと上のほうにあるのかもしれないけど、少なくともここからは、このフロアがどれだけの高さがあるのかはわからなかった。


 そんな場所を、周囲を警戒しつつ歩いていたら、不意に身体が床から離れていったというわけだ。


「なに、これ」


 ロロコが空中でくるくる回りながら言う。


「うわわわわわ!」


 アルメルが手足をバタバタさせる。


「うおー! すげえ、あたし飛んでる!」


 ラファはなんか楽しそうだな……。


「ふん、くだらぬ仕掛けじゃな」


 そう告げたドグラがドラゴン態に変化する。


 そして手近にいたクラクラを手でつかまえる。


「おお、助かった」


「ふふぇへへぇ、なんでもないのじゃ」


 ドラゴンの姿で照れたようにくねくねするドグラ。

 なんかこのドラゴン、どんどんダメになってってないか?


 しかしドグラがいてくれたのはありがたいな。


 ドラゴンが空を飛べるのは魔力を使っているからだ。

 とすれば、周りが無重力だろうがなんだろうが関係ない。


 なんならこのまま一気に上まで飛んでいけるかもしれない。


「……む?」


 と思ったら、俺たちを集めようとしていたドグラが変な声を上げる。


 え、どうしたの?


 ——ボフン!


 うわ、ドグラが人間に戻った。


「どうかしたのか?」


「わからぬ。勝手に身体が……ぬわ!」


 クラクラに答えている途中で、ドグラの身体から緑の煙のようなものが吹き出す。


 これは……苔モンスター!?


 ドグラはフィオンティアーナで苔モンスターを体内に取り込んでしまった。


 少しずつ消化してってるって話だったから、増えることはないはずだったけど。

 ……しかし、よく見ると、ドグラの見た目に緑っぽい部分が増えている。

 さらに2Pキャラ感が増してしまってる。


 ——ボフンボフンボフン!


 とさらに連続で緑色の煙がドグラの周りに放出される。


「ぬわー、なんじゃこれは!」


 見ると、ドグラの髪の毛が爆発したみたいになってる。


 アフロ……というか緑色なのでブロッコリーみたいだ。


「なんじゃこれ、うわ、ひゃ、ひゃああああああ!」


 ボボボボボボボボ!


 今度は煙ではなく苔そのものが現れた。


 フィオンティアーナを襲ったときよりも激しい勢い。

 苔モンスターは信じられないほどの速度で玄関フロアの空間を埋めていく。


 そして、視界があっという間に緑に満たされてしまった。

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