36 カエル包囲網を抜けろ!

 カエルに囲まれた俺とロロコ。


 カエルたちは一斉に毒液を吐く構え。

 下は毒の沼。


 逃げ場なし!


 どうする!?


〈ってロロコ、なにやってんの!?〉


 突然俺のパーツであるベルトを外そうとしてる。

 それとると、ダンゴムシ装甲が外れちゃうんだけど!


「これ、使う」

〈……あ、そうか!〉


 なるほどな!

 俺も大慌てでベルトを外す。


 ダンゴムシ装甲は計3つある。

 身体の上半分と下半分を重ねるための2枚と、腕につけた盾用の1枚と。


 それを外して、ロロコが2枚、俺が1枚持つ。


 ――ベシャベシャベシャベシャ!


 おわ、毒液っ!


 あぶねー、なんとか間に合った。


 カエルたちが吐いた毒液を、ダンゴムシ装甲でガード!


 ――じゅううううう!


 と煙が出るが、装甲はそう簡単には破れない。


 すげー。

 ダンゴムシさまさまだぜ。


 しかし、カエルたちはすぐさま第二射の構え。


 どうしようどうしよう。

 ダンゴムシ装甲で攻撃できればいいんだが。

 これは俺の身体じゃないからな。

 浮かせたり操作したりはできない。


 ……あ、そうか。


 俺はダンゴムシ装甲を持った右手を、肘パーツのところで分離する。

 そして、その右腕を浮かして振り回す。


 よし、いけるぞ!


〈おりゃーーーーー!〉


 右腕を飛ばして、ダンゴムシ装甲でカエルをぶった切る。


 ――ズバ!


 ――ゲコゲコゲコゲコォ!?


 カエルたちがぎょっとして後退する。


 前にカマキリを倒したときも出来たからな。

 俺としちゃそう驚くほどじゃないぜ。


 げど、カエルたちにとっては結構な驚きだったらしい。

 一斉に後退した。


 よし、この隙に!


 俺は一気に本体を加速。

 包囲の薄いところから、脱出する。


 ――ゲコゲコゲコゲコ!


 追ってこようとする奴もいるな。

 けど、させねえ!


 右腕を振り回し、ダンゴムシ装甲で切り裂く、切り裂く!


 ――ズバ!


 ――ゲコゲコゲコォ!


 ――ズバ!


 ――ゲコゲコゲコォ!


 よっしゃ!

 もうすぐ毒の沼を抜けるぜ――。


 ――ベシャアアア!


 ……え?


 突然大量の毒液を浴びせられた。


 こ、こいつ。

 沼の中に潜んでやがったのか。


 ――じゅうううううう!


 ぎゃあああああ!

 下半身がすごい勢いで溶けてく!

 直撃だとここまでの威力なのか!


〈ロロコ! 大丈夫か?〉

「ん。私はなんともない」

〈よし! じゃあ飛べ!〉

「え」

〈このまま俺に乗っかってたら危険だ! お前だけでも逃げろ!〉

「でも」

〈いいから!〉


 くそっ。

 言い合ってる場合じゃねえ。


 ひょい。


「あ、なにするの」

〈こうするんだよ!〉


 俺はロロコを抱えて、沼の外へと放り投げた。


 さあ、これでロロコは安全だ。

 じっくりお前と勝負してやるよ、くそガエル。

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