とある生徒と蝶男、そして
「ああああ!」
焼ける痛みが桜尾 すみれを支配する。
彼女が撃った銃弾は笹塚 瑠璃を殺すものだった。しかし、弾は発射されず、火花程度で済むはずの火炎は爆発となって彼女の腕を引き裂いた。
「畜生!こんな!こんなこと!聞いてない!」
光弥と名乗る男は拳銃があるとだけしか言っていない。彼は暴発なんてことを一言も喋ってはいなかった。
「ああ!痛い痛い!」
腕が焼け、裂かれた神経が中途半端に繋がって外気に直接触れるだけでも激痛が伴う。
「これは、また」
静かな足取りで彼女の前に来たのは長野先生だった。
「せんせっ、あの、男が、こうやって言う人が、嘘をっ」
すがる思いで長野先生を見上げる。今、彼女が頼れるのは先生だけだった。
「えぇ、知っていますよ。そうするように僕が指示したんです」
先生は冷徹で冷淡な台詞を微笑みながら告げる。
聞き間違いではないか、優しいその人が、助言してくれた人が、そんなことを言うだなんて。彼女は信じられずに目を丸くする。
しかし、現実は非情だ。
「君はずっと舞台を操作していると思っていたようだね」
「ちがう、こんな、こんな」
痛みと熱と現実に桜尾 すみれは拒否するように呟く。
「けれど、シナリオライターはほかにいる」
蝶男は人を紹介するように手を差し向ける。桜尾 すみれも現状を理解するために同じ方向に視線を送る。
2人の目は私を見つめていた。
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