第69話 学食

「──で、なんで僕も一緒に?」


「葉幸も1人だった様なので誘ったのですが……

迷惑でしたか?」


「いや別に迷惑とかではないけど……」


「ならいいですね!」


ロータスさんが葉幸くんに声をかけて、3人で食堂にやってきた私達は1つの丸机にそれぞれお昼ご飯を広げていました。


私はハンバーグ定食、ロータスさんはカレーライス、そして葉幸くんはお弁当を持ってきていました。


「うぅ……

心夏のハンバーグ美味しそうですね……

私のカレー1口とハンバーグ1口交換しませんか?」


「いいですよ。はい、どうぞ」


私はハンバーグを1口分の大きさに切り分けてロータスさんのお皿の端に乗せます。


「ありがとう!心夏も、はい!」


ロータスさんはカレーをすくったスプーンをそのまま私の方に差し出してきました。


パクっ……


「美味しいですね……!」


いつもお弁当だったので学食は初めてですが、思っていた以上の美味しさです。


しかし、私がカレーの美味しさに浸っている間に事件は起きていました……


「はい、葉幸も!」


「え、僕も?」


「うん!」


(あ、あのスプーンで食べるのですか!?)


ロータスさんは先程私にしたのと同じようなことを葉幸くんにしています。

もちろん、スプーンは先程私が食べたものと同じスプーンなのであれを葉幸くんが食べてしまえば……


パクっ……


「あ……」


食べてしまいました。

私が食べた後のスプーンで葉幸くんが……


「美味しい……

学食のカレーってこんなに美味しかったんだね」


葉幸くんは私とは反対に気にした様子がないどころが気づいてもいません。


これで良かった…?いやダメなんじゃ……


「どうしたの、心夏?」


「い、いえ!なんでもありま──」


「あ、分かった!」


するとロータスさんは何を思ったのか、スプーンで1口分のカレーをすくって……


「はい!美味しかったからもう一口たべたかったんだよね?」

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