第56話 そんな事より
「ねーねー!マーガレットちゃんってなんで日本に来ようと思ったの?」
「アメリカの学校ってどんな感じ?」
「あっちに彼氏とかいたの!?」
「日本に来ようと思ったのは、母様の育った国を1度自分の目で見てみたかったからです。
アメリカの学校は──」
空いていた私の隣の席に座っている留学生さんことロータスさんは先程からずっとこの調子でみんなからの質問の受け答えをしています。
しかし、私はそんな事よりもずっと気になっていることがありました。
それはもちろん──
「あのっ……
葉幸くんも同じクラスだったんですね」
気づいたら私はロータスさんの後ろ、私から見て左斜め後ろの席に座る葉幸くんに声をかけていました。
「みたいだね。1年間よろしく」
「は、はい。こちらこそよろしくお願いします」
──え?
なんだか、普通に言葉を返してくれましたけど……
葉幸くんならここは適当に頷くだけか、最悪無視されることすら予想していました。
「1つだけ質問してもいいですか?」
「何?」
「葉幸くんですよね…?」
「え?」
葉幸くんはわけが分からないという顔で私を見ています。
「いつもより愛想もいいですし、何よりいつもならこの時間は寝ているじゃないですか」
「あ〜そういう事ね……
なんか姉さんとか先生に2年からは形だけでもちゃんとしろって言われてね。最悪留年にするって脅されたから仕方なくって感じかな」
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