約束

 長い接吻が終わり、視界が開けて見えたのは狼の顔だった。先輩と同じ目の色をしている。


「みぎわ」

「迎えにきたぞ」


 頭の中に声が響く。遠い昔に聞いた声に、目の前が暗くなる。ふさふさとしか何かに包まれて、草木と土の匂いを嗅いだ気がした。街灯の下。道の上に、影はなく。既にそこには誰もいない。


(指、きった!)

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