「シュウカさんの『特別スキル』って、一体どんなスキルなんですか？」

　私は問いかける。

『サランさんの『特別スキル』って、『言霊・物語付与』っていうものなんだよね？』

　シュウカさんが聞き返してくるから、答える。

「そうです」

『私の『特別スキル』は、『プラス思考』だよ』

「プラス思考……」

　プラス思考。それって、私の考えている『プラス思考』と同じものだろうか……。

　シュウカさんには見えていないけれど、思わず首をひねる。

「『プラス思考』って、あの『プラス思考』ですか？」

　私の言葉に、シュウカさんがすぐに返してくる。

『そう。特別って感じはしないけど、なんでもプラスになる。プラスの考え方になる。それのおかげで、逆に言えばどんな困難にも立ち向かっていけるんだよね』

「たとえば？」

『たとえば、敵の弱点を勝手にこちらで作り出せることかな』

「弱点を勝手に作り出せる……」

　ちょっと待って。弱点って、私達が作り出せるものじゃないよね……。

　弱点って、自分が思いもよらないものが弱点になっているものだし。

「シュウカさん、弱点って、勝手に作り出せるものでしたっけ……？」

　ゲームの敵キャラには、ほとんど必ず弱点がある。でもあれって、ゲーム会社が……以下略。

『普通は、無理だよね。でも私の特別スキルなら、それができるんだー。簡単に言うと、どんなことでもプラスに考えられるから、どんなに絶望的な状況でもなんとか活路を見つけられるんだよ。だから弱点が見つかることもある。ただ、絶対ではないけどねー』

　シュウカさんの言葉は、納得できることがある。どんな時でも、プラスに考えられる能力は、困難を乗り超える力をくれる時がある。そして、このシュウカさんの『特別スキル』は、今の私達に必要なものでもある。

「シュウカさんシュウカさん！　シュウカさんの『特別スキル』は、絶対に今回のゲームログインとゲーム攻略に役に立ちます！」

『サランさんの『言霊・物語付与』の力もそうだよ！　絶対に役に立つ。なんとかして、ゲームをこれからも楽しめるよう頑張ろう。この力、失いたくないもんね！』

「はいっ」

　ゲームの中で得た特別スキル。この特別スキルは、ゲームだけでしか使えない。もちろん、現実世界の私にちなんだ力ではあるけど、ゲーム世界ほど、その力は利用できない。シュウカさんたちと協力して、なんとしても強制ログアウトイベントを止めるんだ！

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