同内容の企画書
『……それは、片方が原本で、片方がコピーということではなくてか』
「はい」
二つの書類を見比べる。最初に手に入れた企画書の表紙は、『VRMMOもの企画書』。作成者の名前はない。しかし、今度手に入れた企画書には、作成者の名前がある。当たり前だけど、私の知らない名前。
中身をぱらぱらとめくってみると、中身もやっぱり違う。似たような内容だけど、簡単に言えば、後から手に入れた企画書の方が、うまくまとまってる感じ。
最初から持っていた企画書は、楽しさはにじみ出てるけど、人に読まれることを前提に作ってなさそうな、本当に好きを詰め込んだ感じのもの。
後から手に入れた企画書は、事務的に、読みやすく分かりやすくまとめたものみたいな感じかな。
「こっちは、さっきシュウカさんが見つけたプラグを発見しまして、もう1本のプラグも自力で発見しましたよ」
遠くから、ずんだ餅さんの声が聞こえてくる。それからすぐに、シュウカさんの声がした。
「あ、ずんだ餅さん、そっちに敵が行ったよー」
あ、やっぱりキーアイテムを手に入れた人の方に、敵が行くようになってるみたいだね。
「ぎゃあああああ」
ずんだ餅さんの声が響き渡る。
「シュウカさん、敵さんの様子を確認してください。何か先ほどまでとは変わっていることはありませんか」
「ちょっと待ってねー、ずんだ餅さんの方に行ってみる」
のんびりしたシュウカさんの声。しばらくすると、シュウカさんが私の目の前にやってきた。そして、こともなげに言う。
「んとねー、敵のねー、首から上がない」
「一大事じゃないですかっ!」
「ホラーなんて聞いてません!! どうして僕がこんな目に!!!」
遠くから、ずんだ餅さんの声が聞こえてくる。
「どうしてこんなところに、ホラー要素が転がってるんでしょうね」
「まぁ、入り口からしてちょっと怖かったけどね」
シュウカさんは頭をかいた。
「それじゃ、アタシはとりあえず、ずんだ餅さんから預かったプラグ2本を差して、残りのプラグを探してみる。プラグ以外で気になったものも見つけたら声をかけるけど、サランさんは、プラグ以外のキーになりそうなアイテムをメインで探してくれたらいいからねー」
「あ、シュウカさん。シュウカさんもこの書類、確認してみてくれませんか」
シュウカさんは、なんて言ったって、リアルでは受付嬢さんだったから。私とはまた違った目線で物事を見ることができると思う。普段からアンテナ張ってるだろうからね。すると、シュウカさんが思いがけないことを言い始めたんだ。
「……この書類、どっかで見た気がする……」
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