ゲーム進行のためのキー。
「ぎゃーっ!!!!!!!」
シュウカさん、何を血迷ったか、私たちの方に走ってくる。
「わああああ、シュウカさん、こっち来ないでくださいいいいぃっ」
「うわあああん、見捨てないでええええぇっ」
逃げ惑う私とずんだ餅さん。後ろから追いかけてくるシュウカさん。
「駄目です駄目です。落ち着いてください! このままだと三人とものスタミナが消費されて、相手の思うつぼですから!!!! 全員、散ってください!!!」
私はそう言って、ずんだ餅さんよりあえてゆっくり走って、まっすぐ、右、左の分かれ道のある場所で、ずんだ餅さんの行った方向と反対方向へ逃げる。そして、後ろからくるシュウカさんに向かって叫ぶ。
「シュウカさんは、まっすぐ逃げてください!」
「分かったぁああああっ」
シュウカさんは、指示通りまっすぐに進んでくれる。敵の注意はまだ、シュウカさんに向いたままだ。
「今までは、一人を集中的に狙ったりしなかったのに……」
さっきまでは、それこそ、あっちへ行ったりこっちへ行ったりと、すぐに狙いを変えていた敵さん。そのおかげで、そんなに逃げるのに苦労もしなかったんだけど。
急に一人を狙うようになった。どうしてだろう。そういえば。
「シュウカさん、さっき、何か見つけませんでしたか」
私がどこかを走っているシュウカさんに向かって叫ぶと、暗闇から声が返ってくる。
「印付けてるよおおー。ハートマークゥ……ッ!」
そうだ、目印だ。今度はずんだ餅さんに向かって叫ぶ。
「ずんだ餅さん、気になる場所には、星マークをつけておいてください。私は、丸印をつけていきますので!」
「なんか僕のマークだけ、複雑すぎやしませんかっ!」
そう声が返ってきたものの、反論はなかった。納得はしてくれたみたい。
『……何か、フラグを立てたのかもしれない』
シュウさんがぽつりと言った。
「フラグ?」
『ゲーム進行に必要なフラグ……条件だ。たとえば今の状況をゲームとしてみるなら、まずはエレベーターを動かさなくてはならない。分かるな?』
「はい」
『某有名ゲームなら、急にブレーカーなどが落ちた設定になっていて、キーアイテムを手に入れたり、各箇所にある電気を入れて回ったりすることでフラグを立てることにより、先に進めるようになる』
ああ、そう言われたら分かる。どうしてもここがゲームの中だと忘れがちだけど。
『そして、ゲーム進行に必要なキーアイテムを手に入れたり、行動を行ったりすると、大概イベントが起きたり、敵が出て来たりするものだ』
「つまりは、新たな敵こそ出てこなかったものの、今いる敵がゲーム進行の条件の一つを達成したために強化されたと?」
『……その可能性は、あると思う』
ということは。これから何回かそのフラグを立てて、ここから出ることになるんだろうけれど。ゴールに近づくたびに、何かしら起きると。
「そういうところ、ゲームっぽくしなくていいです!!!」
このダンジョン作った人に文句を言いたいよ!!!!
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