アイテム作成のための情報集め。
シュウさんとアイダさんと別れ、ゲームからログアウトした後。部屋の本棚を漁る。確か、この辺に収納しておいたはず……。あ、あった!
床に散らばる本たち。後で片づけるからしばしお待ちを。そう思いながら、お目当ての一冊をテーブルまで持ってくる。
さっきシュウさんたちに話した作戦に欠かせない、アイテムが出てくる児童ファンタジー小説だ。ハードカバーの本で重みがある。
そういえばこのシリーズの本、最近は読んでないな。昔は何度も読み直したものだけど……。長編小説を読む気力が社会人になってからなくなってしまったような気がする。
何冊も出ている同タイトルの本の中の一冊、その中にシュウさんたちに話したアイテムが出てくる。
分厚い本の内容は、大方頭の中に入ってる。全部を読み返していたら、夜が明けちゃうから、目次を確認。お目当てのアイテムが出てくるだいたいのページを割り出す。
どさっと本の真ん中くらいのページを開く。数十ページあるけど、このくらい、すぐに読める。
隣にパソコンのメモ帳アプリを用意。そして読み進めていく中で出て来たアイテムなどのメモを取っていく。これは、長い戦いになるかもしれない……。私は心の中で苦笑い。
―――
次の日の夜。ログインした私を見て、シュウさんは少し動揺した顔をした。
「……ゲームだからかもしれないが。少し、顔色が悪くないか」
「……すみません。昨日調子に乗って、該当の巻を読破してしまいまして……」
シュウさんに事の顛末を話して聞かせる。作戦用のアイテムを作成するために、アイデアの着想を得た児童向け長編ファンタジーのアイテム作成の場面を読み返そうとしたこと。
そして、読み返しているうちに、最初から読みたくなってしまい、欲望に勝てずに最初から最後まで読んでいたら、いつの間にか朝になってしまったこと。
「……つまりはアレか、寝ていないわけか」
「はい」
シュウさんは、鼻をならした。
「……まったく」
「すみません」
「……構わない。誰にだって時間を忘れて没頭したい時だってあるだろう」
シュウさんの言葉に私、一安心。
「それではさっそく、アイテム作成に取り掛かりますね」
私は、メールボックスを開く。ここに、昨日メモ帳でメモした内容をコピーペーストしたものを下書きで保存しておいたんだ。
その下書きを呼び出して、いったいどういうアイテムが必要だったかを眺める。シュウさんが私の後ろに立って、そのリストを眺める。
「……。思ったより、たくさんの材料が必要だったんだな」
「そうですね。まぁ、最後の一つは、アイダさんが来ないと用意できないものですし、どちらにせよ完成するかどうかは、アイダさんが来るまでは分かりません」
とりあえず、アイダさんが合流するまでにできることをしていこう!
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