トラップトラップトラップ!

 私たちは、どんどんさっき走ってきた道を急ぎ足で戻る。その間にも、シュウさんが屈んだり、背伸びをしたりして立ち止まる。私もついでに、立ち止まってカンナさんのお店でもらったアイテムを置いていこうと立ち止まってシュウさんに声をかける。


「シュウさんの設置してるものって、トラップですよね」

「……ああ。時間稼ぎをして、ついでにダメージを与えておければと思ってな」


 シュウさんが頷く。


「……そもそも、スナイパーやアーチャーなどの遠距離攻撃メインのジョブは、いかに敵に距離を詰められないようにするのかが重要だ。距離をとるためのトラップの設置などは、それなりに場数を踏んでいるつもりだ」


 それに、とシュウさんは続ける。


「前に出られる前衛ジョブであるフリントはあんな感じだからな。どうやら暗いところは苦手な様子だし、戦力として数えない方がいいかもしれない」

「さらに、私とフジヤさんも戦力的に期待できないですからねぇ」


 私は苦笑する。シュウさんだけに負担をかけるわけにはいかない。私も頑張って使えそうなアイテムを設置していかないと。


 そう思ってアイテムを準備していたら。


『特別スキルレベルアップ条件が1つ開放されました。確認しますか』


 ポップアップ画面が立ち上がった。久々に、特別スキルレベルアップ条件が提示されたみたい。


『仲間とともにアイテム・トラップを設置する』


 おおー。自分の作ったアイテムじゃなくても、市販品のアイテムを使う事でも、特別スキルのレベルアップ条件になることがあるのか。でも、条件が提示された時とは別に、また同じ行動をしないといけないから、この条件でのレベルアップが見込めるのは、次以降になっちゃうね。


「眠り肉にー、しびれ肉にー、毒肉。あ!」

「……どうした」

「シュウさんシュウさん、いいこと思いつきました!」

「……ずいぶん、楽しそうな顔をしているが……」

「ちょっとの間、ネズミさんに動きがないか見張っててください」


 私は、特別スキルを発動して、肉からアイテムを作成! これがうまく行けば、かなり有利に戦いが進むと思う。


『毒肉【改】。一定期間、食べた相手の大きさを半分以下にし、行動スピードも、半分以下にする』


 私は、完成したアイテムをシュウさんに得意げに見せる。


「……いいアイデアだ。これなら、フリントに攻撃を任せられそうだな」

「はい」

「最悪、こちらでも対応できる状態になるだろう」


 私は、いつでも残り2回のスキルをこれに使えるように他の罠肉のストックをとっておくことにした。既に1種類ずつは床に置いておいたしね。


 そう思っていたら、遠くの方で、ズシーンという音が響きだした。


「……どうやら、動き出したみたいだな」

「そのようです」


 さぁ、私とシュウさんのトラップの出番だよ!



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る