迷いの洞窟について
「ここからは、『迷いの洞窟』についてぼくなりに調べてきた報告になります」
フリントさんは言うと、巻物にまた顔をくっつける。
「『迷いの洞窟』。推奨レベルはレベル5から。チームで挑む場合は、この限りではないとのことです」
「……質問」
シュウさんが手を上げる。
「何ですか」
「推奨レベル5からということだが、出現モンスターはどういった感じなんだ」
「ああもう、それはどっかに書きましたけど、探すの大変なんです!」
順番に読ませてくれた方が早いのに! とフリントさんはぷりぷりしている。
「モンスターは、初心者用のダンジョンやエリアにいるようなモンスターばかりです。それ以外のモンスターの名前は攻略サイトなど見る限り、ありませんでした」
「では、後から追加されたダンジョンに行くメリットはあるのか」
「ああもう! 人の話は最初から最後まで聞きましょうって、小学校で習いませんでしたか! 先生怒りますよ!!」
「「「先生?」」」
フリントさん以外の三人の声が重なる。そのとたん、フリントさんが固まる。
「あ……」
「……なるほど、教師か」
シュウさんが鼻をならす。すると、フリントさんもまた鼻をならす。
「すみませんねぇ、教師で! きっとアナタは、教師になんでも逆らうタイプだったんでしょ!」
「偉そうにしてる教師が気に入らなかっただけだ。そういうやつはたいてい、大した知識も持ってないからな」
「何ですって!」
「……一言も、そちらのことだと言った覚えはないが」
「アナタと話してるとイライラしてきます!」
「まぁまぁ……」
私はそう言いながら、内心思った。喧嘩するほど、なんとやらだ。
「シュウさんの物言いにも問題はありますが。でも確かに、新しく追加されたダンジョンでも、別にめぼしいものがないのであれば、最初期からあった初心者用のダンジョンでもいいことになりますよね」
私がそういうと、フリントさんは胸を張った。
「それが、あるんですよ。メリットが」
「……ほう?」
シュウさんが先を話せとばかりに、あごをしゃくる。
「嗚呼、すっごく身体がイライラしているのが分かります……」
「血圧上がるぞ?」
「誰のせいだと思ってるんですかっ!」
……仲いいなぁ。私とフジヤさんはくすくす笑ってしまう。
「そこの女子二人も! 笑ってないでこの失礼な輩をなんとかなさい!」
「女子!」
「女子だって! やった! 若返ったね私たち!」
喜びあう私とフジヤさん。フリントさんは大きなためいきをついた。
それから大声で言った。
「メリットはぁ! ダンジョンにある宝箱です! 普通のダンジョンなら手に入る宝箱の中身は確定ですが! ここのダンジョンにある宝箱は、宝箱の出現場所もランダム、中身もランダムなんです!!」
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