言霊付与術師は、ＶＲＭＭＯでほのぼのライフを送りたい

チラシ作りの方法

　問題は、チラシ作りのための人材集めにありそうだ。チラシを作ると一言で言っても、色々なことが想定される。

　たとえば、「どうやってチラシを作るのか」。現実世界でなら、データであれ、手書きであれ、印刷機があれば量産体制がとれる。けれど、こちらの世界ではそういったものがない可能性がある。だとすれば。

　だとすれば、少し前の日本のように活版印刷に頼るという手があるかもしれないけれど、そもそも活版印刷の技術がこの世界にあるかどうかは分からない。これは、印刷機の場合と一緒。

　一番確実なのは手書きで量産していくことだけど、同時にこれは一番手間のかかる方法といっても過言ではない。自分ひとりでたくさん作ろうとするなら、なおさらだ。でも、そんなに枚数が必要だろうか。私は首をひねる。

　それほどあちこちに出来上がったチラシを貼る必要はない気がする。あくまでこの街の、人の集まる場所をピックアップしてそこに貼ることができればいい。

　お店の入り口や広場、掲示板やクエスト発注所なんかに貼ることができれば十分効果は表れてくるんじゃないかな。それこそ、ここで結果が出ないのなら他の場所に貼ったところで、大きな変化は見込めないと思う。

　じゃあ、手書きで必要分は作るとして。問題は、「どうやって、どんなチラシを作るのか」に移るね。

　オシャレな目を引くデザインにしたいから、センスのある人に頼みたい。現実世界で言う「絵師さん」みたいな。でも、「絵師さん」をこの世界で見つけるのは大変そうだ。今までに知り合った人の中に「絵師さん」がいたら別だけど、そう都合よく事が運ぶとも思えない。

　これは、現実世界のインターネットの世界で「絵師さん」を募集した方が効率よく進んでいくんじゃないかな。

　今日の分のスキルは使い切っちゃってるし、ここは１度ログアウトして、現実世界での1人作戦会議としゃれこもうじゃないか。

　幸い、イラスト投稿サイトなどであればいくらかは詳しいつもり。だから、著名なイラスト投稿サイトなどを見て、チラシ作りを手伝ってくれそうな人を探すと早そうだ。または、ＳＮＳで自分とつながりのある「絵師さん」を頼ってみるか。

　とにかく、現状この世界でできることは少ないような気がする。明日も仕事で朝が早いことは決定してしまったわけだし、現実世界に戻ろうか。

　私はそう思うと、ゲームからログアウトした。そして、パソコンを開く。そうして、ネットの海へと航海へ出かけたのだった。いい「絵師さん」に出会えるといいんだけど。